天国と地獄が無料で全話見れる動画配信はどれ|考察、ネタバレ、タダで見る方法も解説

『天国と地獄』が見れる動画配信サービス
現在、U-NEXT で視聴できます。
| 配信サービス | 視聴可否 |
|---|---|
| Netflix | − |
| Amazon Prime Video | − |
| Disney+ | − |
| Hulu | − |
| U-NEXT | 視聴可能 |
『天国と地獄』とは?作品の見どころ
横浜の高台にそびえる、製靴会社「ナショナル・シューズ」の専務、権藤金吾の白い邸宅。背後に広がる港湾の夜景を一望できるその豪邸の中で、彼は人生最大の経営的勝負に挑もうとしています。けれど、その夜にかかってくる一本の電話が、彼のすべての計画を根本から揺さぶることになります。「お前の息子を誘拐した。身代金3000万円」――その声に、権藤の顔から血の気が引いた次の瞬間、家のなかから別の声が聞こえてきます。彼の息子は無事ベッドに座っており、一緒に遊んでいたはずの運転手の息子・進一の姿だけが、この家から消えていました。本作は、その「誤った誘拐」をきっかけに、権藤がひとりの父として、ひとりの経営者として、何を選び何を捨てるのかを、息詰まるテンポで描き切る黒澤明監督の最高級のサスペンス・ドラマです。
1963年に公開された日本映画で、ジャンルは社会派の刑事サスペンスです。原作はエド・マクベインの推理小説『キングの身代金』(87分署シリーズ)。監督と共同脚本は黒澤明、共同脚本に菊島隆三、小国英雄、久板栄二郎。権藤役に三船敏郎、戸倉警部役に仲代達矢、権藤の妻伶子役に香川京子、犯人竹内役に山崎努、運転手中尾役に木村功、刑事陣に石山健二郎、加藤武、三橋達也らが配されています。撮影は中井朝一・斎藤孝雄、音楽は佐藤勝。
最大の見どころは、上下に分かれた都市の構図――横浜の高台に立つ豪邸と、海岸沿いの工場街・路上の生活――を白黒のスクリーン上で対比させながら、ひとつの誘拐事件を社会全体の倫理として描き切る筆致にあります。本作の有名な「特急こだまの身代金受け渡し」シークエンスと、犯人逮捕後に交わされる権藤と犯人の最後の対面は、現代日本のサスペンス映画のあらゆる作品が出発点として参照する、屈指の名場面です。
『天国と地獄』を全話無料で見る方法
『天国と地獄』を全話無料で見る方法は、現時点での日本国内の主要動画配信サービスでは、U-NEXTのサブスクリプションに加入することです。サービスへの登録だけで、追加課金なしに最後まで視聴できます。
U-NEXT
U-NEXTでは、月額プランに加入すれば見放題作品として本作を再生できます。新規登録時に無料体験が用意されているケースもあり、その期間内に視聴することも可能です。U-NEXTは大画面のテレビ用アプリやスマートフォン、ブラウザに対応しており、自宅のリビングでじっくり鑑賞するスタイルにも向きます。
有料視聴ルート(補足)
見放題ではないルートとしては、Apple TVやGoogle Play Movies、Amazon Videoなどデジタル販売プラットフォームでのレンタルおよび購入が選択肢になります。これらは「無料の手段ではないが、視聴ルートとして補足」しておきます。地上波・BS・CSの映画チャンネルでも繰り返し放送される定番作品で、テレビ番組表で本作のタイトルを見かけることもあります。
まとめると、現時点で日本国内において、登録だけで全編無料の見放題で視聴できるのはU-NEXTです。Netflix、Amazon Prime Video、Disney+、Huluの主要4社の見放題プランには本作は含まれていません。状況は時期によって変わりうるため、視聴前には各サービス公式の最新情報を確認することをおすすめします。
あらすじ
物語の始まり
物語の幕開けは、ある夏の夜、横浜の高台に建つナショナル・シューズの専務、権藤金吾の白い邸宅。彼はナショナル・シューズの経営を巡り、創業者一族の3人の重役と社長交代をめぐって対立しており、長年こつこつと貯めてきた個人資産をすべて投入し、株を買い占めて経営権を握る最後の一手を準備しています。秘書の青木と運転手の中尾、そして妻の伶子だけが、彼の決断を見守っています。
主人公を待ち受けるもの
夜の更けたある瞬間、家の電話が鳴ります。電話の向こうの男は冷たい声で「お前の息子・純を誘拐した。身代金3000万円」と告げます。権藤は息子の名前を呼びます――けれど次の瞬間、自宅の廊下から純が出てきます。誘拐されたのは、純と一緒にカウボーイごっこをしていた運転手中尾の息子、進一でした。電話の犯人は人違いだったのです。けれども犯人はこちらの混乱を悟り、続けて告げます。「他人の子だろうが構わない。お前は3000万円を払うことになる」。
警察が動き出し、戸倉警部を中心とする捜査本部が権藤邸の地下に設けられます。会社経営をかけた個人資産を犠牲にして、他人の子のために身代金を払うかどうか――社会的に「払って当然」の場面で、権藤は経営者として、夫として、家族の責任の重みを抱えながら、ひと晩を悩み抜きます。妻伶子と運転手中尾の真っ直ぐな視線、そして自分自身の良心。彼は最終的に、3000万円を支払う決断を下します。
受け渡しは、東海道本線特急「こだま」が湯河原と熱海の間を時速約100kmで通過するわずか数十秒のあいだ。権藤は2つのアタッシェケースを抱えて手洗い場から、犯人の指示通りに窓越しに身代金を投げ落とすことになります。本作のもっとも有名なシーケンスのひとつが、この「特急こだまの身代金受け渡し」です。投げ落とされた直後、進一は別の場所で無事保護されます。
物語の後半では、戸倉警部の捜査本部が、誘拐事件の真犯人を追い詰める長期捜査に切り替わります。本作は前半の権藤邸の心理ドラマと、後半の刑事たちの足を使った地道な捜査劇という、構造的に大きく異なる二部構成を取り、観客に「天国(高台)と地獄(街路)」の対比を画面の上で実感させていきます。
登場人物
権藤 金吾(演:三船敏郎)
本作の主人公。製靴会社ナショナル・シューズの専務取締役で、創業以来一族で経営されてきた会社の方向性を巡り、現体制への対抗策を準備中の経営者です。誘拐事件をきっかけに、自分の人生最大の経営判断と「他人の子の命」を秤にかけることを強いられる男として描かれます。三船敏郎は本作のために、それまでの侠客・侍像とは大きく異なる、白いシャツに身を包んだ知性的な経営者像を体現しました。
戸倉警部(演:仲代達矢)
横浜県警察の捜査本部を率いる中堅警部。落ち着いた声色と粘り強さで、刑事たちのチームを統括する人物として描かれます。本作の後半は事実上彼が主役として物語を担い、街路の足取りひとつひとつから犯人を追い詰めていく刑事たちの仕事を率いる役回りです。仲代達矢の鋭い目元と低い声が、本作の倫理的な背骨を支えます。
権藤 伶子(演:香川京子)
権藤の妻。家族の食卓と家庭の温度を支える人物として描かれ、本作の前半で「他人の子の命を救うことは、当然のこと」と夫に告げる重要な発言を担います。彼女の静かな視線と、確かな倫理観が、権藤の最終的な決断を支える土台となります。
中尾(演:木村功)
権藤家の運転手。誘拐された進一の父親で、本作の中盤、「権藤さんに、自分の子のために3000万円を払わせるのは違う」と苦悩しながらも、最終的に頭を下げて支援を受けることを選ぶ人物として描かれます。彼の表情の変化は、本作の感情の中心軸のひとつを担います。
竹内 銀次郎(演:山崎努)
本作の真犯人。物語の後半に登場し、戸倉警部らの捜査が彼の輪郭を少しずつ浮かび上がらせていきます。本作のラストの権藤との対面シーンは、20世紀日本映画における屈指の名場面のひとつとして語り継がれています。山崎努は本作の役作りで、独特の眼の動きと声色を作り上げ、彼自身のキャリアの代表作のひとつを完成させました。
青木刑事(演:三橋達也)/田口刑事課長(演:石山健二郎)/中島刑事(演:加藤武)
戸倉警部の率いる捜査本部の主要な刑事陣。それぞれの専門分野を生かして、誘拐電話の音声分析、身代金の札の追跡、自動車の足取り、現場の物的証拠の精査など、地道な刑事捜査の細部を担います。本作の後半は彼らのアンサンブルが画面の中心となり、刑事ものとしての本作の手触りを支えます。
スタッフ・キャスト陣
監督と共同脚本は黒澤明。本作は黒澤の戦後のキャリアの中盤の代表作のひとつで、彼自身の社会派志向と、ハリウッドの推理小説の文法を組み合わせる試みとして仕立てられました。原作はアメリカの推理作家エド・マクベインの『キングの身代金』。共同脚本には菊島隆三、小国英雄、久板栄二郎の3人が参加しており、原作の枠組みを大胆に翻案して、戦後日本の社会の格差と倫理を題材にしたサスペンス劇に仕上げています。
撮影は中井朝一と斎藤孝雄。本作はシネマスコープの白黒撮影で、横浜の港湾、高台の豪邸、刑事たちの本部、特急列車の手洗い場、街の路地、麻薬密売の現場、犯人の隠れ家など、それぞれ完全に異なる質感の場面を、同じフィルムの上で破綻なく共存させています。本作のもっとも有名な一場面――誘拐車両から立ち上る煙だけが、白黒の画面の中で唯一ピンク色に着色されているシーン――は、当時としては前例のない部分着色の技法で実現されました。
音楽は佐藤勝。前半の権藤邸での緊張、特急こだまの受け渡しの場面、後半の捜査本部の長い夜、ラストの面会のシーン――それぞれの感情の流れに合わせたミニマルなスコアが、本作の緊張感を支えています。
主演キャスト
権藤役の三船敏郎は、それまでの黒澤作品(『七人の侍』『隠し砦の三悪人』『用心棒』『椿三十郎』など)の侍像から、白いシャツのスーツの経営者像へと役柄を大胆に切り替えるための役作りを行いました。本作の前半に彼が見せる「悩み続ける男」の身体性は、本作の倫理的な核を担っています。
戸倉警部役の仲代達矢は、当時20代後半の若手俳優として黒澤組に長期にわたって参加してきた俳優で、本作で本格的な刑事像を完成させました。彼の冷静な眼差しと低い声色は、本作の後半の捜査劇の説得力を支えています。
犯人役の山崎努は、本作の出演当時20代後半の若手俳優でしたが、本作の屈指のラストの面会シーンを担う役どころで一躍世界的に知られるところとなりました。香川京子、木村功、三橋達也、石山健二郎、加藤武ら、東宝の黄金期の名優陣が本作の細部を支えています。
興行収入・話題
興行収入・話題
本作は1963年の邦画の興行ランキングで上位に位置するヒットを記録しました。当時の日本映画としては大規模な製作費が投じられ、結果として配給会社にとっても大きな成功となりました。海外展開では、米国・欧州での上映も継続的に行われ、現在まで黒澤作品のなかでも『七人の侍』『羅生門』『生きる』と並ぶ代表作として位置づけられています。家庭用ビデオ・DVD・配信展開を通じて、本作は世代を越えた観客に届き続けるロングセラーの位置を保ち続けています。
評価・受賞歴
第36回キネマ旬報ベスト・テンで4位にランクインし、第18回毎日映画コンクールで男優主演賞、男優助演賞、撮影賞、録音賞などを受賞しました。海外でもサンフランシスコ国際映画祭、ベルリン国際映画祭などでの上映を経て、批評家団体から高い評価を獲得しています。スパイク・リーは2024年に本作のリメイク『ハイ・アンド・ロー』を発表しており、現代に至るまで本作の作劇が世界中の作家に影響を与え続けていることを示す事例として参照されます。批評家団体やファン投票によるオールタイムベスト選にも繰り返し登場し続けています。
ネタバレ
※ここからネタバレを含みます。
クライマックス
物語の中盤、権藤は特急こだまの手洗い場から、3000万円の身代金を犯人の指示通りに窓越しに投げ落とします。直後、進一は無事に保護されますが、ナショナル・シューズの経営権を巡る権藤自身の計画は、3000万円を失ったことで完全に頓挫します。彼は会社の重役会で経営権を失い、家族の住む高台の白い邸宅も手放さざるを得ない状況に追い込まれていきます。
物語の後半は、戸倉警部の捜査本部が、誘拐事件の真犯人を追い詰めていく地道な刑事劇に切り替わります。彼らはこだまの線路沿いの民家の窓から、犯人が事件当夜に持っていた赤いハンドバッグを見つけ、麻薬中毒者の溜まり場、横浜の歓楽街の薬局、外国人船員の集まる路地など、街の暗部に踏み込んでいきます。とりわけ、麻薬密売の現場で誘拐の共犯者だった麻薬中毒者の女性に過剰投与で命を絶たせた竹内の冷酷な計画は、彼の人物像の核として観客に手渡されていきます。
捜査本部はやがて、犯人が横浜の医学部の若い医師見習いの竹内銀次郎であることを突き止めます。竹内は、自分のアパートから権藤の白い邸宅を毎日見上げていた人物で、本作のタイトル「天国と地獄」を象徴する人物です。彼は権藤を「天国の住人」、自分を「地獄の住人」として一方的に観察し、長年にわたって憎しみを募らせてきました。逮捕の現場で、彼は捜査本部の刑事たちの目の前で淡々と全ての事実を認めます。
結末が示すもの
本作のクライマックスは、有罪判決を受けて死刑が確定した竹内が、刑の執行直前に獄中で権藤と面会する場面です。鉄格子の向こう側で、竹内は「あなたが住んでいた高台の白い家を、毎日見上げていた」と告げ、権藤は彼の言葉に冷静に向き合います。鉄格子越しの会話のなかで、竹内は途中までは強気を保とうとしますが、刑の執行が迫るにつれてその表情が崩れ、ついに獄卒の手で奥の処刑室に連れて行かれる直前で、彼は権藤に向けて決定的な感情を見せます。
ラストショットは、面会室の鉄格子の上に下りてくるカーテン――権藤の側と竹内の側の世界が、ふたたび物理的に切り離される瞬間です。鉄格子の前に立つ権藤の顔だけが、画面の上に長く残されたあと、本作は静かに幕を閉じていきます。彼が3000万円を失ったあとに何を学んだのか、自分自身の経営者としての道をこれからどう歩んでいくのか――その答えを観客に押し付けることなく、本作は「天国と地獄が、本当に切り離された二つの世界なのか」という問いを画面外側に残して終わっていきます。
トリビア
本作の原作はアメリカの推理作家エド・マクベインの『キングの身代金』(87分署シリーズの1冊)。黒澤明はマクベインの作品をいくつも読んでおり、本作の構造を「日本の戦後の格差を映す物語」として大胆に翻案する判断を下しました。
本作のもっとも有名な「ピンクの煙」のシーンは、白黒撮影の本作のなかで唯一カラー処理が施された数秒のシークエンスです。当時としては前例のない部分着色の技法を、フィルム上に手作業で施す形で実現しました。
特急こだまの身代金受け渡しシーンの撮影は、当時の国鉄の協力を得て、実際の特急列車の運行のあいだに数本のカメラを使って撮影されました。撮影と運行のスケジュール調整が極めて困難で、本作の屈指の名場面の制作にあたって、現場のスタッフは長期間の準備を行ったとされます。
本作以後の映画作品に与えた影響は世界規模で、デヴィッド・フィンチャーやマーティン・スコセッシなどが本作を「自身に影響を与えた1作」として挙げています。スパイク・リー監督は2024年に本作の現代版リメイク『ハイ・アンド・ロー』を発表しました。
山崎努は本作出演時、まだ若手俳優として駆け出しの時期にありました。彼の本作の役作りは、長期にわたって犯人像を作り上げる稽古と、目の動きと声色のディテールに徹底的に向き合うアプローチで進められたとされます。
黒澤明は、本作の前作にあたる『椿三十郎』『用心棒』の侍シリーズの華やかさから、社会派サスペンスへとジャンルを大きく転換するに当たって、長期間の準備期間を確保しました。本作の脚本は、菊島隆三、小国英雄、久板栄二郎ら脚本家たちとの長時間の議論を通じて練り上げられたと伝えられます。
本作のタイトル「天国と地獄」は、原作のタイトル「King's Ransom(王の身代金)」とは大きく異なる、本作のために選び取られたタイトルです。横浜の高台と海岸沿いの街路の対比、経営者と犯罪者の世界の対比、家族の温かさと事件後の冷たさの対比――いずれもタイトルが象徴する二項対立の重なりとして、本作の構造を一言で観客に手渡します。
撮影裏話
撮影の舞台裏
本作の撮影は、横浜と東京近郊を中心に行われました。権藤の白い邸宅は東宝撮影所のスタジオセットとして大規模に建てられ、現実の高台のロケーションと組み合わせる形で撮影されています。後半の刑事捜査のシーンの一部は、横浜の歓楽街、外国人船員の集まる路地、麻薬密売の現場のロケなど、当時の現実の街並みをそのまま用いて撮影されました。本作の特急こだまの撮影は、当時の国鉄の協力を得て、実際の運行スケジュールの間で慎重に撮影されています。
キャストの準備
三船敏郎は、それまでの侍・侠客像とは大きく異なる「白いシャツの経営者」像を作るため、撮影前から声色、姿勢、視線の置き方を細かく組み立て直しました。本作の前半の権藤邸での長い悩みのシーンは、彼の身体性そのものが変わったことが画面に出る重要な部分として組み立てられています。
仲代達矢は、戸倉警部の冷静で粘り強い指揮官像を作るために、当時の現実の警察官の所作や、捜査本部の動きを取材した上で役作りを進めたとされます。山崎努は、犯人竹内の不気味な落ち着きを保つために、撮影現場で他のキャストとあえて距離を取って役を保つアプローチを採ったと伝えられます。
技術的な挑戦
本作の最大の技術的挑戦は、特急こだまの身代金受け渡しシーンの撮影と、ピンクの煙の部分着色シーンの実現でした。前者は実際の運行スケジュールの中で複数台のカメラを同時運用するという、当時としては極めて困難な現場運営を伴いました。後者は白黒フィルムの上に手作業で着色を施すという、現代のデジタル合成とはまったく異なるアナログの技法によって作られています。佐藤勝の音楽は、これらの大規模なシーンを観客の感情に乗せて運ぶ仕事として、本作の緊張感の中心を支えています。



