裏窓が無料で全話見れる動画配信はどれ|考察、ネタバレ、タダで見る方法も解説

『裏窓』が見れる動画配信サービス
現在、Amazon Prime Video・U-NEXT で視聴できます。
| 配信サービス | 視聴可否 |
|---|---|
| Netflix | − |
| Amazon Prime Video | 視聴可能 |
| Disney+ | − |
| Hulu | − |
| U-NEXT | 視聴可能 |
『裏窓』とは?作品の見どころ
ニューヨーク・グリニッジヴィレッジの夏の盛り。怪我で右脚にギプスをはめられ、車椅子で過ごすしかない写真家ジェフリーズは、自宅アパートの裏窓越しに、向かいの集合住宅の住人たちの暮らしを眺めることだけを唯一の楽しみにしています。新婚夫婦、孤独な作曲家、テラスで踊るバレリーナ、犬を可愛がる老夫婦、そして妻を寝たきりで世話する中年男ソーワルド――ある夜、彼の部屋の窓のカーテンの揺らぎに、ジェフリーズは「妻が消えた」という奇妙な可能性を直感します。本作は、たった一つのアパートの裏窓から見える隣家の生活だけを舞台に、観客の想像力と道徳観を同時に試し続ける、ヒッチコック流サスペンスの古典です。
1954年に公開されたアメリカ映画で、ジャンルはサスペンス・スリラーです。原作はコーネル・ウールリッチの短編「It Had to Be Murder」、脚本はジョン・マイケル・ヘイズ。監督・製作はアルフレッド・ヒッチコック。ジェフ・ジェフリーズ役にジェームズ・スチュワート、リサ役にグレース・ケリー、看護師ステラ役にセルマ・リッター、ソーワルド役にレイモンド・バー、ドイル警部役にウェンデル・コーリイが配されています。撮影はロバート・バークス、音楽はフランツ・ワックスマン。
最大の見どころは、ジェフリーズの部屋の窓から「向かいのアパートの全景」が一望できる、巨大なオープンセットの空間設計と、ジェフリーズの主観視点に観客を強制的に同化させる演出です。窃視(盗み見)という倫理的に微妙な行為が、観客自身の楽しみと一体化していく瞬間を、本作はゆっくりと観客に手渡します。
『裏窓』を全話無料で見る方法
『裏窓』を全話無料で見る方法は、現時点での日本国内の主要動画配信サービスでは、Amazon Prime VideoとU-NEXTの2つのサブスクリプションのいずれかに加入することです。いずれもサービスへの登録だけで、追加課金なしに最後まで視聴できます。
Amazon Prime Video
プライム会員であれば、見放題対象として本作を視聴できます。アカウントを作成しプライムに加入すれば、スマートフォン、タブレット、テレビアプリ、ブラウザのいずれからでも再生可能です。広告つきプランでも本作は視聴対象に含まれます。
U-NEXT
U-NEXTでは、月額プランに加入すれば見放題作品として本作を再生できます。新規登録時に無料体験が用意されているケースもあり、その期間内に視聴することも可能です。U-NEXTは大画面のテレビ用アプリやスマートフォン、ブラウザに対応しており、自宅のリビングでじっくり鑑賞するスタイルにも向きます。
そのほか、Apple TVやGoogle Play Movies、Amazon Videoといったデジタル販売プラットフォームでは、レンタルや購入の選択肢があります。これらは「無料の手段ではないが、視聴ルートとして補足」しておきます。Netflix、Disney+、Huluの日本版では、現時点で本作の見放題配信は行われていません。
あらすじ
物語の始まり
物語の舞台は、夏のニューヨーク・グリニッジヴィレッジの集合住宅。雑誌のフォト・ジャーナリストを生業とするL・B・"ジェフ"・ジェフリーズは、危険な現場で取材中に大事故に遭い、右脚にギプスをはめたまま車椅子の生活を強いられています。冒頭、汗ばむ住居の窓辺に座る彼は、向かいの集合住宅の住人たちの生活を観察することを唯一の楽しみとしています。バレリーナを目指す若い女性「ミス・トルソー」、ピアノに向かって作曲を続ける独身男性、屋上で犬を散歩させる老夫婦、テラスで朝食を取る新婚夫婦、夜になって独りで食事を演じてから泣き崩れるミス・ロンリーハーツ――それぞれの「窓越しの物語」が、ジェフリーズの退屈を毎日埋めていきます。
主人公を待ち受けるもの
そんな彼の部屋には、毎日昼食を運んでくる看護師ステラ、夜になると訪ねてくる恋人で社交界の華リサ・キャロル・フリーモント、そして元戦友の警部ドイルが顔を出します。リサとの関係は、彼女が本気で結婚を望むのに対して、ジェフリーズは「君は社交界向きで、自分の野外取材の生活には合わない」と一線を引こうとする、ぎこちないものです。
物語の風向きが変わるのは、向かいの集合住宅に住むセールスマン、ラース・ソーワルドという中年男の生活を観察し始めてからです。彼は寝たきりで世話を必要とする妻を抱えていましたが、ある雨の夜遅く、ソーワルドは大きなカバンを抱えて何度も自宅と外を往復し、翌朝になると妻の姿が部屋から消えていました。彼が新聞紙とロープで包まれた何かを部屋から運び出している姿、深夜に金属を磨いている姿――ジェフリーズはそれらの細部を、自身の窓辺の双眼鏡越しに観察し続けます。「ソーワルドは妻を殺したのではないか」という確信を、彼は次第に強めていきます。
リサとステラは最初、ジェフリーズの推理を冗談として受け流していましたが、彼の細かな観察が徐々に説得力を持って彼女たちにも伝わってきます。本作の中盤からは、リサが現実的な行動力で「向かいの部屋に踏み込む」役回りを担い、ステラが冷静な助言を提供する立場として、ジェフリーズの動かない身体に代わってふたりの女性が動き出していきます。物語が進むにつれて立ち上がってくるのは、殺人の真相そのものよりも、「他人の生活を覗き見ることはどこまで許されるのか」というもうひとつの倫理的な問いです。
登場人物
L・B・"ジェフ"・ジェフリーズ(演:ジェームズ・スチュワート)
本作の主人公。雑誌の写真家として現場取材を続けてきた中年男性で、危険なレース現場で大怪我を負って車椅子生活を送っています。冒険好きで皮肉屋、結婚にも乗り気でないタイプの人物として描かれます。彼が双眼鏡と望遠レンズで隣家を観察する姿は、本作の観客自身の「映画を見る」という行為と重なる、本作のもっとも倫理的に複雑な構図を担います。ジェームズ・スチュワートは本作のためにギプスのままで芝居を続け、彼の視線の動きと微細な表情だけで本作のサスペンスを支えました。
リサ・キャロル・フリーモント(演:グレース・ケリー)
ジェフの恋人。ニューヨーク社交界で活躍するファッションモデル兼ジャーナリストで、最先端のファッションを身に纏って彼の部屋に現れます。最初は窃視の遊びを冷ややかに見ていた彼女ですが、ジェフリーズの推理に興味を持ち始めると、誰よりも勇敢に向かいの部屋に踏み込む行動派へと変身していきます。グレース・ケリーは本作の起用以後、ヒッチコック作品の常連として『ダイヤルMを廻せ!』『泥棒成金』を経て、最終的にモナコ公妃となっていく稀有なキャリアを歩みます。
ステラ(演:セルマ・リッター)
ジェフリーズに毎日昼食を運んでくる看護師。年配の現実派の女性で、ジェフの覗き見の習慣を最初は厳しく咎めますが、彼の推理を聞いた瞬間に方向転換し、最も冷静で有能な助手として現場の捜査を支える人物となります。セルマ・リッターは本作以前から複数のアカデミー賞ノミネート歴を持つ性格俳優で、本作でも独特のドライなユーモアで本作の緊張感を緩める役割を担います。
ラース・ソーワルド(演:レイモンド・バー)
ジェフリーズの観察対象となる中年のセールスマン。物腰は穏やかで、表向きは病気の妻を懸命に世話していた人物として描かれます。本作の中盤、彼の身振りの細部が観客にとってもジェフリーズの推理を裏付ける証拠として積み重なっていきます。レイモンド・バーは長身の体躯と低い声を生かし、本作の屈指の脅威を体現しました。
ドイル警部(演:ウェンデル・コーリイ)
ジェフリーズの旧友で、ニューヨーク市警の現役の警部。ジェフリーズから「向かいの男が妻を殺害したかもしれない」と相談を受け、当初は冷静に「証拠は何もない」と言って退けますが、本作の中盤でリサが新たな証拠を持ち込んだことで、彼自身も捜査の現場に踏み込んでいきます。
隣家の住人たち
ミス・トルソー(バレリーナ)、ミス・ロンリーハーツ(孤独な独身女性)、作曲家、新婚夫婦、屋上の犬を可愛がる老夫婦――それぞれが直接的な台詞をほとんど持たないまま、本作の集合住宅という小宇宙の住人として暮らしています。彼らの生活はジェフリーズの「窓越しの物語」として観客に届けられ、結末ではそれぞれが彼自身の決断や恋愛模様と密かに繋がる構図として完成していきます。
スタッフ・キャスト陣
監督・製作はアルフレッド・ヒッチコック。本作以前にも『見知らぬ乗客』『ダイヤルMを廻せ!』などで実績を積んできた巨匠が、本作で「ひとつの場所を視点として動かない」という極端なルールを自らに課したサスペンス映画の到達点を完成させました。脚本はジョン・マイケル・ヘイズで、コーネル・ウールリッチの短編「It Had to Be Murder」を、ジェフリーズの恋愛模様、看護師ステラのコメディ・リリーフ、隣家の人々の小さな物語など、複数の層を加える形に膨らませて完成させました。
撮影監督はロバート・バークス。ヒッチコック作品の常連で、本作のために巨大な集合住宅のオープンセットを設計し、その中央にジェフリーズの部屋を据えて、向かいのアパート全体を1ショットで捉える独特の空間を作り上げました。本作のセットはパラマウント・スタジオの当時最大級の舞台のひとつで、6階建てに見える集合住宅の内部に複数の独立した部屋が組まれ、それぞれの住人の小さなストーリーが同時並行で動く形で撮影されています。
音楽はフランツ・ワックスマン。本作のために書き下ろしたのではなく、劇中に登場する作曲家のキャラクターが少しずつ完成させていく楽曲という形で、本作の音楽の流れが組み立てられている独特の構造です。各部屋から漏れてくるラジオの音、生活音、街路の音までが、本作のサウンドの重要な要素として組み合わされていきます。
主演キャスト
ジェフリーズ役のジェームズ・スチュワートは、ヒッチコックの常連俳優で、『見知らぬ乗客』ではなく『ロープ』『めまい』『裏窓』『知りすぎていた男』など複数の作品で組んでいます。本作の彼は、車椅子のまま動けない男という制約のなかで、視線の動きと小さな身振りだけで観客の感情を運ぶ仕事を担いました。
リサ役のグレース・ケリーは、本作の起用以前にも『真昼の決闘』などで知られた俳優ですが、本作以降ヒッチコック作品の常連として、彼の女性キャラクター像の代表として広く愛されていきます。彼女が本作で見せる、社交界の最先端ファッションと、夜の窃視に同行する勇気の同居は、本作の魅力の中心軸を支えます。
セルマ・リッター、レイモンド・バー、ウェンデル・コーリイら脇役陣の存在感も、本作の小さな宇宙としての説得力を細部で支えています。
興行収入・話題
興行収入・話題
製作費は約100万ドル。北米興行収入は最終的に3700万ドル超を記録し、当時のサスペンス映画として桁違いの大ヒットとなりました。本作はヒッチコック作品のなかでも長期にわたって繰り返し再公開され、家庭用ビデオの普及期、DVDの時代、そしてデジタル配信時代に至るまで、世代を越えて視聴され続けるロングセラー作品としての位置を保ち続けています。
評価・受賞歴
第27回アカデミー賞では、監督賞、脚色賞、撮影賞、音響賞の合計4部門にノミネートされました。受賞は逃したものの、批評の評価は時間とともに大きく上昇し続け、批評家団体やファン投票によるオールタイムベスト選にも繰り返し登場し続けています。AFI(米国映画協会)の「100年・100大映画」やオールタイム・スリラー映画ランキングなどでも、本作はヒッチコック作品の代表作として頻繁に挙げられ、IMDbのユーザー投票でも公開以後の上位に長く位置し続けています。
ネタバレ
※ここからネタバレを含みます。
クライマックス
物語の中盤、リサとステラは、ジェフリーズの推理を裏付ける証拠を求めて、ソーワルドが妻の遺体の一部を埋めたとされる中庭の花壇を調べます。花壇の土が周辺と微妙に違うことを発見した彼女たちは、ソーワルドの留守中に部屋に侵入する大胆な行動に出ます。リサが部屋のなかで、ソーワルドの妻の結婚指輪を発見した瞬間、ソーワルドが帰宅し、彼女と直接対峙してしまいます。リサは指輪を自身の指にはめて窓辺に立ち、向かいのジェフリーズに「指輪の存在」を見せようと身振りで合図します。本作のもっとも有名なシークエンスのひとつです。
ソーワルドは、リサが向かいの男――ジェフリーズ――に合図していることに気付き、彼自身がジェフリーズの正体を知ることになります。警察がソーワルドの部屋に駆けつけてリサは何とか保護されますが、ジェフリーズは自身がソーワルドに観察されていたことに気づき、緊張のなかで自宅に独り取り残されます。
クライマックスは、ソーワルドがついにジェフリーズの部屋に乗り込んでくる場面です。ジェフは右脚にギプスをはめたまま動けない状態で、唯一の手元の武器として、写真家らしくフラッシュ・バルブの強烈な発光を使ってソーワルドの目を眩ませながら時間を稼ごうとします。フラッシュの一閃ごとに画面が真っ白に焼け、ソーワルドが闇の中で手探りで近づいてくる瞬間――本作の屈指の心臓を掴む場面が連続して観客に届きます。
ソーワルドはついにジェフリーズに掴みかかり、彼を窓辺から下の中庭へ突き落とそうとします。間一髪でリサと警察が部屋に駆け込み、ジェフは2階分の落下にとどまって、左脚も骨折しただけで命を取り留めます。ソーワルドは妻の殺害を自白し、警察に連行されていきます。
結末が示すもの
ラストシーンは、再び夏の暑い日のジェフリーズのアパート。両脚にギプスをはめられ、ますます動けなくなった彼は、満足げな表情を浮かべて昼寝を始めます。隣のソファでは、リサがズボン姿でくつろいでおり、ジェフが眠りに就いた瞬間に、彼女は手元のファッション雑誌を、密かに自分の好みのモード誌『ハーパーズ・バザー』に持ち替えます。「私は、彼が望むようなアウトドア派の女性として振る舞ってきたけれど、本当は私のままでいい」――そんな彼女の小さな選択が、本作の最後のショットに観客への目配せとして残されます。
隣家の風景にも、それぞれの結末がやさしく置かれています。孤独だったミス・ロンリーハーツは、作曲家とのささやかな出会いを果たします。新婚夫婦は早くも喧嘩を始めています。屋上の老夫婦は、ソーワルドに殺された愛犬の死を乗り越え、新しい子犬を迎え入れています。本作のラストは、たったひとつの裏窓から見える小さな宇宙のなかで、それぞれの物語が確かに動き続けていることを観客に手渡して、物語は静かに幕を引いていきます。
トリビア
本作のセットは、当時のパラマウント・スタジオで最大級のオープンセットのひとつとして組み上げられました。6階建てに見える集合住宅の内部には、それぞれ独立した複数のアパートの部屋が同時に組まれ、各部屋ごとに異なる住人の小さな物語が同時並行で撮影されました。
ヒッチコックの「カメオ出演」(自身の作品の端役として一瞬登場する習慣)は、本作では作曲家のアパートで時計の調整をする男として登場します。ヒッチコックの作品愛好家にとって、彼を画面の隅に発見することは本作の小さな楽しみの一つです。
各部屋の住人のキャラクター設定は、ジョン・マイケル・ヘイズの脚本段階で詳細に作り込まれました。それぞれの部屋から漏れてくる音、住人の歩き方、衣装の色などが、彼らの心情の変化を画面の外側から観客に届ける設計として組み立てられています。
本作の有名な「フラッシュ・バルブ」のシーンは、ジェームズ・スチュワート本人が撮影中に手元のカメラで発光させたフラッシュの強烈な光を、そのまま画面に焼き付ける形で撮影されました。当時のフィルム撮影技術の制約のなかで、観客の目に直接届く効果を作り上げる工夫として広く語られます。
グレース・ケリーは本作の出演をきっかけにヒッチコックとの関係を深め、続けて『ダイヤルMを廻せ!』『泥棒成金』に出演します。本作の数年後、彼女はモナコ公国のレーニエ大公と結婚し、女優としてのキャリアを引退して公妃となる稀有な人生を歩みます。
本作の音楽は、劇中の作曲家のキャラクターが少しずつ完成させていく楽曲として、フランツ・ワックスマンが組み立てました。観客は劇中の作曲家がピアノに向かう日々のなかで、ある楽曲が少しずつ形になっていくプロセスを「裏窓ごしに」体験することができます。
本作はその後、世界中の映画作品にインスピレーションを与え続けてきました。スティーヴン・スピルバーグ監督の『リアウィンドウ風の作品』、ブライアン・デ・パルマの諸作、デヴィッド・フィンチャー作品など、本作の構造を直接参照する作品が現在まで広く生まれ続けています。
撮影裏話
撮影の舞台裏
本作の撮影は、当時のパラマウント・スタジオに作られた巨大なオープンセットの中で完結する形で行われました。ジェフリーズの部屋から見える向かいの集合住宅は、6階建てに見える実物大に近い規模で組み上げられ、約30以上の独立した部屋が内部に作られました。それぞれの部屋には独立した照明・ガス・水道のラインが引かれ、現場の住人役の俳優たちは「自分の部屋」のなかで実際に料理をしたり、楽器を弾いたり、家事をしたりすることができました。
キャストの準備
ジェームズ・スチュワートは、ジェフリーズが車椅子に座ったまま動けないという制約のなかで、視線の動きと小さな身振りだけで観客の感情を運ぶ準備を進めました。彼の動かない上半身と、ふと見せる眉の動きや指先の力のかけ方が、本作のサスペンスの密度を支える重要な要素となっています。
グレース・ケリーは、リサが社交界の最先端ファッションを身に纏ったまま夜の窃視に同行するという役どころのために、衣装デザイナーのイーディス・ヘッドと長期にわたって衣装を細かく組み立てました。本作のリサの衣装は、現代まで「ヒッチコック作品の女性キャラクターの衣装の頂点」として語られ続けています。
セルマ・リッター、レイモンド・バー、ウェンデル・コーリイら脇役陣も、それぞれの役どころに合わせて、本作の限られた空間のなかで観客の視線を引き寄せる芝居を作り上げました。
技術的な挑戦
本作の最大の技術的挑戦は、巨大な集合住宅セットのなかで、複数の住人の生活が同時並行で動くシーンを破綻なく見せる撮影設計でした。撮影監督ロバート・バークスは、ジェフリーズの主観視点(双眼鏡と望遠レンズ越し)と、客観視点(部屋の中の風景と人々)を交互に切り替える編集設計を組み立て、観客が「ジェフリーズと同じ視点で覗いている」感覚と、「画面の外側から物語の全体を見ている」感覚を行き来できる仕掛けを作り上げました。本作の技法はその後の映画作品の窃視・観察を扱うあらゆる作品の規範となり、世界中の映画作家から繰り返し参照され続けています。



