ジョーカーが無料で全話見れる動画配信はどれ|考察、ネタバレ、タダで見る方法も解説
『ジョーカー』が見れる動画配信サービス
現在、Netflix・Amazon Prime Video・Hulu・U-NEXT で視聴できます。
| 配信サービス | 視聴可否 |
|---|---|
| Netflix | 視聴可能 |
| Amazon Prime Video | 視聴可能 |
| Disney+ | − |
| Hulu | 視聴可能 |
| U-NEXT | 視聴可能 |
『ジョーカー』とは?作品の見どころ
コメディアンを夢見るうだつの上がらない男アーサー・フレックが、社会の暴力と無関心の連鎖の果てに『ジョーカー』へと変貌していく――2019年公開のトッド・フィリップス監督作『ジョーカー』は、DCコミックスの宿敵を主人公の側から描き直した、世紀の問題作にして傑作です。
本作はワーナー・ブラザース=DCフィルムズが新たに立ち上げた『DCブラックレーベル』(DCEUとは独立した単発映画シリーズ)の第1弾で、製作費6500万ドルの中規模映画ながら、全世界興行収入10.7億ドルという驚異的な数字を叩き出しました。第76回ヴェネチア国際映画祭金獅子賞、第92回アカデミー賞主演男優賞・作曲賞を受賞した、批評と興行の両面で歴史的成功を収めた作品です。
見どころは、ホアキン・フェニックスが演じるアーサーの『笑いたくなくても笑ってしまう病』に苦しむ男の心理の崩壊と、ロバート・デ・ニーロ演じる人気司会者マレー・フランクリンとの対峙シーン。リチャード・グーミーの暗く重厚な撮影と、ヒルドゥル・グーナドッティルが書き下ろしたチェロの低音テーマが、1981年のゴッサム・シティをフィルム・ノワールの最高峰として立ち上げています。
『ジョーカー』を全話無料で見る方法
映画『ジョーカー』を全話無料で視聴したい場合、最も手堅い選択肢はU-NEXTの31日間無料トライアルを活用する方法です。月額2189円のU-NEXTで本作は見放題配信されており、新規入会で31日間の無料体験中に視聴できます。
U-NEXT(31日間無料トライアル)
本作はU-NEXTの見放題対象として配信されています。新規入会の場合は31日間の無料トライアルが用意されており、その期間中であれば追加料金なしで本編を最後まで鑑賞できます。U-NEXTにはトッド・フィリップス監督の続編『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』(2024年)も同時に視聴できる場合があり、シリーズを通しで楽しみたい方に最適です。登録時に600ポイントが付与されるため、関連書籍やDCコミック原作の購入にも応用可能です。
Amazon Prime Video(30日間無料体験)
本作はAmazon Prime Videoでも見放題配信中です。プライム会員月額600円もしくは年額5900円のサービスで、新規入会の場合は30日間の無料体験が用意されています。Prime Video上では『ダークナイト』三部作なども同時に見放題で視聴できる場合があり、バットマン関連映画の連続視聴に向いています。
Netflix(無料体験は2019年に終了)
Netflixでも本作は見放題配信中ですが、Netflixの日本国内での無料体験は2019年に終了しているため、新規ユーザーが完全無料で視聴する手段はありません。既存会員であれば追加料金なしで視聴可能です。
Hulu(無料体験なし)
Hulu Japanでも本作は見放題配信中ですが、Hulu Japanは2023年に2週間無料体験を終了しているため、新規ユーザーが完全無料で視聴する手段はありません。既存会員のみ追加料金なしで視聴できます。
補足:他の主要VOD
本作はワーナー・ブラザース作品ですが、Disney+では配信されていません。DMM TV、TELASA、FOD、dアニメストアでも配信されていない可能性が高いため、これらのサービスのみを契約している方は、上記いずれかの無料体験に切り替えるのが最適です。レンタル・購入は『全話無料』の手段ではないため本記事では推奨しません。
あらすじ
物語の始まり
舞台は1981年、ゴミ収集業者のストライキが続き、街じゅうにゴミ袋が積み重なる退廃的な大都市・ゴッサム・シティ。主人公アーサー・フレック(ホアキン・フェニックス)は、ピエロの派遣会社で働きながら、亡き母親と二人きりの暮らしを送る40代の男性です。彼には『緊張すると意図せず笑い続けてしまう』という神経疾患があり、市が運営する精神保健サービスに通って7種類の薬を服用していますが、その症状は社会で生きていく上でのあらゆる場面で彼を苦しめていました。
アーサーには小さな夢がありました。それは『コメディアンとして人を笑顔にする』こと。憧れの人気司会者マレー・フランクリン(ロバート・デ・ニーロ)の番組をテレビで見ながら、いつか自分もあのスタジオの舞台に立つ日を想像する――これがアーサーの唯一の希望でした。
連鎖する暴力
物語が動き出すのは、ある一つの夜の出来事から。仕事帰りの地下鉄で、酔った3人のウォール街勤務の若者がアーサーに絡んできます。発作が止まらないアーサーを彼らは執拗に殴り続け、追い詰められたアーサーは仕事仲間から渡された護身用の銃で彼ら3人を射殺してしまいます。逃走したアーサーは公衆トイレで震えながら、自分の中に芽生えた『新しい何か』を初めて感じ取ります。
母の秘密
地下鉄での殺人事件が報道されると、ゴッサムの貧困層の若者たちはピエロのマスクを被って『金持ちを倒した英雄』としてアーサーを称賛し始めます。社会への鬱屈を抱えていた市民の不満は、これを契機に大規模な抗議活動へと発展していきます。
同時にアーサーは、母親ペニー(フランセス・コンロイ)が頻繁に手紙を出している『トーマス・ウェイン』が、自分の実の父親かもしれないという秘密を知ります。トーマス・ウェインはゴッサムで最も裕福な実業家で、ブルース・ウェイン(後のバットマン)の父親。アーサーがウェイン家の屋敷を訪ねた瞬間、彼自身のアイデンティティが根底から問われる物語が動き出します。
マレー・フランクリンの番組へ
物語の終盤、アーサーはコメディクラブで失敗したスタンドアップ漫談の映像が、なぜかマレー・フランクリンの番組で『最悪のコメディ』として全国放送される事件が起きます。マレー本人がアーサーをバカにする放送を見たアーサーは、しかし冷静さを失わず、番組への出演オファーを受け入れる決断をします。なぜならアーサーは、その生放送のスタジオで、すべてを終わらせる覚悟を決めていたからです。
アーサーが赤いスーツに着替え、髪を緑に染め、顔を白く塗ってスタジオに向かう道のり。そこから先の物語は、ゴッサム・シティを永遠に変える歴史的瞬間として、本作のクライマックスに刻まれていきます。
登場人物
アーサー・フレック/ジョーカー(演・ホアキン・フェニックス)
本作の主人公にして語り部、ピエロの派遣会社に勤める40代の男性。緊張すると笑い続けてしまう神経疾患を抱え、母親との二人暮らしの中で精神的に追い詰められていきます。本作のアーサーは過去のジョーカー像(ヒース・レジャー版、ジャレッド・レト版など)とは大きく異なる『社会から見捨てられた弱者』として描かれ、ホアキン・フェニックスは役のために約24kgの減量を行いました。彼はアカデミー主演男優賞、ゴールデングローブ賞、英国アカデミー賞を本作で総なめにし、ジョーカー役の歴代最高峰として記憶されています。
マレー・フランクリン(演・ロバート・デ・ニーロ)
ゴッサムで最も人気のあるトーク番組の司会者。アーサーが憧れる存在ですが、彼の失敗映像を全国放送で晒し者にすることで、アーサーの最後の希望を打ち砕きます。本作の物語の最終段階で重要な役割を担うキーパーソンです。ロバート・デ・ニーロは『タクシードライバー』『レイジング・ブル』『グッドフェローズ』などで知られる映画史最高峰の俳優で、本作のキャスティングは『タクシードライバー』へのオマージュとしても機能しています。
ペニー・フレック(演・フランセス・コンロイ)
アーサーの母親で、慢性的に体調を崩している老女。彼女は『トーマス・ウェインに手紙を書き続ける』という奇妙な習慣を持ち、息子に『君は皆を笑顔にする運命だ』と語り続けてきました。物語の中盤で彼女の精神病院入院歴と、アーサーの出生に関する衝撃の真実が明かされていきます。
ソフィー・デュモンド(演・ザジー・ビーツ)
アーサーが暮らすアパートの隣人で、シングルマザーの黒人女性。アーサーは彼女に淡い恋心を抱き、二人きりのデートを重ねていきます。ザジー・ビーツは『デッドプール2』『アトランタ』『バレリアン 千の惑星の救世主』などで存在感を発揮してきた俳優です。
トーマス・ウェイン(演・ブレット・カレン)
ゴッサム・シティの実業家であり、市長候補。後にブルース・ウェイン(バットマン)の父となる人物で、本作ではアーサーの実の父である可能性が浮上する重要キャラクターです。本作のトーマス・ウェインは過去のバットマン映画(ノーラン版『バットマン・ビギンズ』など)の『清廉な慈善家』というイメージとは異なり、貧困層を見下す傲慢な富裕層の象徴として描かれています。
ブルース・ウェイン(演・ダンテ・ペレイラ=オルソン)
トーマス・ウェインの幼い息子で、後にバットマンとなる少年。本作では9歳の少年として登場し、ウェイン邸の庭でアーサーと初めて会う印象的な場面があります。ブルースとアーサーがバットマンとジョーカーになる前の『運命的な出会い』が、本作の縦軸として機能しています。
ランドル(演・グレン・フレシュラー)と ゲイリー(演・リー・ギル)
アーサーが勤めるピエロ派遣会社の同僚。ランドルはアーサーに護身用の銃を渡す軽率な男、ゲイリーはアーサーに優しく接する小柄な同僚です。彼らとの関係性が、物語のターニングポイントで重要な意味を持ちます。
スタッフ・キャスト陣
本作の制作はワーナー・ブラザース・ピクチャーズと、トッド・フィリップス監督自身のプロダクション『ジョイント・エフォート』、ヴィレッジ・ロードショー・ピクチャーズの三社共同で進められました。製作費は6500万ドルと、ハリウッド大作としては中規模の予算ですが、ニューヨークでのロケ撮影と精緻な美術設計によって雄大なゴッサム・シティを立ち上げることに成功しました。
監督・脚本・製作はトッド・フィリップス。コメディ映画『ハングオーバー』三部作(2009-2013)の監督として知られていた彼が、本作で初めてシリアスドラマに挑戦したことに業界は驚きました。彼は本作の構想を5年がかりで温め、マーティン・スコセッシ監督の『タクシードライバー』『キング・オブ・コメディ』、シドニー・ルメット監督の『狼よさらば』など、1970-80年代のニューヨーク映画から多大な影響を受けています。
脚本はトッド・フィリップスとスコット・シルヴァーの共同執筆。シルヴァーは『8 Mile』『ザ・ファイター』などで実績を積んできた脚本家で、彼の労働者階級の心理描写の手腕が、アーサー・フレックという複雑なキャラクターの肉付けに大きく貢献しました。
撮影監督はローレンス・シャー。彼はトッド・フィリップス監督の『ハングオーバー』シリーズや『ウォー・ドッグス』で監督と長年タッグを組んできた仲間で、本作のためにフィルム調の暗いトーンを実現する独自のカメラワーク・照明設計を構築しました。彼の撮影スタイルが本作のフィルム・ノワール調を完璧に成立させています。
編集はジェフ・グロス、衣装デザインはマーク・ブリッジス。マーク・ブリッジスは『ファントム・スレッド』でアカデミー衣装デザイン賞を受賞した名手で、本作のアーサーの赤いスーツと緑の髪のジョーカー姿を、過去のジョーカー作品とは一線を画す独自のデザインで作り上げました。
音楽はヒルドゥル・グーナドッティル。アイスランド出身のチェロ奏者・作曲家で、本作のために重低音のチェロを基調とした不穏なテーマを書き下ろしました。彼女の音楽はアーサーの精神の崩壊を映像と完璧に同期させ、第92回アカデミー作曲賞、ゴールデングローブ作曲賞、英国アカデミー作曲賞を独占受賞しました。女性作曲家がアカデミー作曲賞を受賞するのは、本作で史上3人目の快挙です。
主演キャスト
ホアキン・フェニックスは『ザ・マスター』『her/世界でひとつの彼女』『ビューティフル・デイ』などで実力派俳優としての地位を確立してきた俳優です。本作のアーサー役のために、彼は5か月間の事前準備期間を経て約24kgの減量を達成し、撮影中も極端な食事制限を続けました。彼は本作で第92回アカデミー主演男優賞を受賞しました(4度目のノミネートで初受賞)。彼の受賞スピーチで気候変動への提言を語った場面は、当時の映画界を超えた話題となりました。
ロバート・デ・ニーロ(マレー・フランクリン)は2度のアカデミー賞受賞俳優で、本作のキャスティングはマーティン・スコセッシ監督の『キング・オブ・コメディ』(1982年)でデ・ニーロが演じた『コメディアンを夢見る男ルパート・パプキン』へのオマージュとして機能しています。トッド・フィリップス監督は『現代のジョーカーは1980年代のニューヨーク映画から進化していなければならない』とデ・ニーロの起用理由を公式インタビューで語っています。
ザジー・ビーツ(ソフィー)、フランセス・コンロイ(ペニー)といった脇役陣も、本作の繊細な心理ドラマを確かな演技力で支えています。
興行収入・話題
興行収入と話題
本作は2019年10月4日にアメリカで公開され、初週末興行収入9650万ドルを記録。これは10月公開作品として歴代最高の数字でした。最終的に全世界興行収入は10.7億ドル(約1500億円)に達し、製作費6500万ドルから16倍以上の利益を生み出した記録的な大ヒットとなりました。R指定映画として史上初の10億ドル突破作品でもあります。
日本国内では2019年10月4日公開で、初週末興行収入は4億円を記録。最終興収は約51億円に達し、洋画として安定した数字を残しました。Filmarksの本作評価は4.1点(5点満点)と、批評家・観客双方から高い支持を集めました。
受賞歴
本作は第76回ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞し、コミック原作映画として初の主要映画祭最高賞を獲得した記念碑的作品となりました。第92回アカデミー賞では11部門にノミネートされ、主演男優賞(ホアキン・フェニックス)と作曲賞(ヒルドゥル・グーナドッティル)の2部門を受賞。さらにゴールデングローブ賞、英国アカデミー賞、SAG賞など主要映画賞でも続々と受賞を重ねました。
米Rotten Tomatoesでは批評家スコア68%、観客スコア88%と批評家評価は分かれましたが、観客スコアの高さが本作への熱量を象徴しています。批評家の中には『暴力を美化する危険な作品』との批判もある一方、『社会の周縁に追いやられた人々への深い共感を示す傑作』と絶賛するレビューも多く、議論を呼ぶ問題作として記憶されました。
IPの広がり
本作の成功を受けて、トッド・フィリップス監督による続編『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』が2024年10月に劇場公開されました。続編はミュージカル映画形式で制作され、レディー・ガガがハーレイ・クイン役で出演する話題作でしたが、興行成績は前作を大きく下回りました。本作はその独立性ゆえに、DCEU(DC拡張ユニバース)とも別枠の単発映画として、コミック原作映画の新たな可能性を示した作品として歴史に刻まれています。
ネタバレ
※ここからネタバレを含みます。
母の真実
物語の中盤、アーサーは母親ペニーの過去を調査するためアーカム精神病院に潜入し、自分が『養子』であり、ペニーの実子ではない可能性が高いという衝撃の事実を知ります。さらに過去のペニーは精神疾患を理由に複数回入院しており、養子として引き取った幼いアーサーを精神病院の発作の最中に虐待していた記録も発見します。アーサーが緊張すると笑い続けてしまう神経疾患は、幼少期の脳損傷が原因だったことが、母の医療記録から明らかになります。
母殺し
真実を知ったアーサーは病院に戻り、ベッドで眠る母ペニーに枕を押し付けて窒息死させます。長年自分を縛ってきた母親の存在を自らの手で消すこの行為は、アーサーがアーサー・フレックという『社会の弱者』のアイデンティティを完全に脱ぎ捨てる象徴的な瞬間です。
ソフィーの正体
アーサーが恋人だと思っていた隣人ソフィーは、実は彼の妄想の中で恋人になっていただけで、現実のソフィーはアーサーのことをほぼ知らない状態でした。映画中盤、アーサーがソフィーの部屋に勝手に入った瞬間、これまでの恋人デートの場面が彼の妄想だったことが明かされ、観客に大きな衝撃を与えます。彼女がその後どうなったかについては映画では明確に描かれませんが、暗示的にアーサーが彼女を傷つけていない可能性が示唆されています。
マレー・フランクリン番組の生中継
物語のクライマックスは、マレー・フランクリン番組の生放送スタジオで展開されます。赤いスーツと緑の髪、白塗りの顔で完全にジョーカーへと変貌したアーサーは、マレーに自身が地下鉄殺人犯であることを宣言。社会への怒りと、自分を見下してきたマレーへの軽蔑を語った後、生放送の最中にマレーを銃で射殺します。この場面はテレビで全国放送され、ゴッサム市民の社会への怒りが頂点に達する瞬間として描かれます。
ウェイン家の悲劇
テレビ放送と同時にゴッサムの街では大規模な暴動が発生し、その混乱の中でブルース・ウェインの両親、トーマスとマーサ・ウェインがピエロのマスクを被った男に劇場前の路地で射殺されます。これは『バットマン誕生』のオリジナルストーリーと一致する展開で、本作はジョーカーがバットマン誕生の間接的な引き金となったことを明確に描き切ります。
結末の真実
物語のラストシーンでは、アーサーがアーカム精神病院の白い病棟で精神科医と面談する場面が描かれます。彼は何かを思い出して笑い、口元から血を流しながら廊下を歩き出すこのカットの解釈は、観客によって大きく分かれています。一説には『これまでの物語全体がアーサーの妄想だった可能性』も示唆されており、本作は明確な答えを提示しないまま幕を下ろします。
続編との繋がり
2024年公開の続編『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』は、本作のラストシーンの病院入院から2年後を舞台にしています。ハーレイ・クインとの出会いと、アーサーの『ジョーカーかどうか』という根本的な問いが新たに展開される構造で、本作の解釈を観客に再考させる役割を担いました。
トリビア
本作のホアキン・フェニックスは、アーサー役のために約24kg(52ポンド)の減量を達成しました。彼の極端な体型変化は撮影現場でも話題となり、ある日の撮影で椅子から立ち上がれなくなる場面もあったとプロデューサーが公式インタビューで明かしています。
本作のジョーカーの『笑い続ける』演技は、ホアキン・フェニックス本人が制作した独自の発声法に基づいています。彼は実在する『情緒不安定症(PBA)』の症状動画を数百本視聴し、それを参考に独自の笑い声を作り上げました。彼の笑い声は録音段階で何パターンも試され、本編に使用されたのは最も不気味と判定されたバージョンです。
監督のトッド・フィリップスは、本作のキャスティング初期段階でレオナルド・ディカプリオに主演を打診していたとされています。ディカプリオが断った後、ホアキン・フェニックスにオファーが出され、これが結果的にアカデミー主演男優賞受賞に繋がりました。
ジョーカーが赤い階段で踊る印象的なシーン(ニューヨーク・ブロンクスのShakespeare AveとAnderson Aveの階段で撮影)は、本作の象徴的な場面となりました。撮影後、その階段は『ジョーカー階段』と呼ばれて世界中の観光客が訪れる名所となり、近隣住民から『観光客の押し寄せに困っている』という苦情が出ました。
音楽担当のヒルドゥル・グーナドッティルは、本作のチェロソロを撮影開始前に作曲し、ホアキン・フェニックスは撮影中にスタジオでこの音楽を聴きながら役作りを行いました。これは異例の制作プロセスで、ホアキンは『あの音楽が私を導いてくれた』と公式インタビューで語っています。
ロバート・デ・ニーロのキャスティングは、マーティン・スコセッシ監督の『キング・オブ・コメディ』(1982年)でデ・ニーロが演じた『コメディアンを夢見る男ルパート・パプキン』へのオマージュです。本作の構造もまた、『キング・オブ・コメディ』の『社会の周縁の男がトーク番組の司会者を狙う』というプロットを意識的に踏襲しています。
本作のロケ撮影はニューヨーク市内の140か所以上で行われました。1981年のゴッサム・シティを再現するため、撮影クルーはストリートのゴミ袋・看板・落書きまで美術スタッフが手作業で配置・除去するという徹底ぶりで、観客に『ゴミ収集ストライキ中の80年代NYC』を完璧に体感させる映像を作り上げました。
撮影裏話
5年がかりの企画開発
本作の企画は2014年、トッド・フィリップス監督が『DCコミックスのキャラクターを使って大人向けの単発映画を作りたい』とワーナー・ブラザースに提案したことから始まりました。当初DCEU(DC拡張ユニバース)にスーサイド・スクワッド版ジョーカー(ジャレッド・レト主演)が存在していたため、本作は『独立した世界線のジョーカー』として企画開発が進められました。
コメディ監督のシリアスドラマ転向
トッド・フィリップス監督は、それまで『ハングオーバー』三部作などのコメディ映画で実績を積んできた監督で、本作のようなシリアスドラマへの転向は業界に大きな驚きを与えました。彼は『ハングオーバー』シリーズで培った『社会から外れた男たち』への共感を、本作のアーサー像に深く投影したと公式インタビューで語っています。
ホアキン・フェニックスの役作り
ホアキン・フェニックスは、本作の役作りのために約5か月の事前準備期間を取りました。減量52ポンド(約24kg)に加え、彼は『情緒不安定症(PBA)』の症状を理解するため臨床心理学者と面談し、実在する患者の動画を数百本視聴しました。彼は撮影中も役から離れず、撮影現場でも『役に没入したまま』スタッフと最低限のコミュニケーションしか取らないという徹底ぶりを見せました。
ニューヨークでのロケ撮影
撮影は2018年9月にニューヨーク市内でスタートしました。1981年のゴッサム・シティを再現するため、ニューヨークの140か所以上でロケが行われ、80年代の看板・ポスター・落書きが美術スタッフによって街中に再現されました。撮影中はニューヨーク市民との衝突が頻発し、特に『ジョーカー階段』として知られるブロンクスの撮影地は、撮影終了後も観光名所化して住民の苦情を呼ぶ事態となりました。
ヒルドゥル・グーナドッティルの音楽制作
音楽担当のヒルドゥル・グーナドッティルは、本作のチェロを基調とした不穏なテーマを撮影開始前に作曲しました。これは異例のプロセスで、撮影中にホアキン・フェニックスがこの音楽を実際に聴きながら役を作り上げる『音楽インスパイア演技』が試みられました。映画完成後、彼女はこの音楽で第92回アカデミー作曲賞、ゴールデングローブ作曲賞、英国アカデミー作曲賞を独占受賞し、コミック原作映画初の作曲賞アカデミー受賞という快挙を達成しました。
暴力描写を巡る論争
本作の公開前、米国では『本作が現実の暴力を煽る可能性がある』との懸念が議論となり、一部のシネコンでは警備強化が行われました。これに対しトッド・フィリップス監督は『本作は社会から見捨てられた人々への共感を促す作品で、暴力を美化するものではない』と公式声明を発表し、論争を呼びました。結果的に本作の公開期間中に大きな事件は発生せず、本作は『社会的議論を巻き起こした映画』として歴史に記録される作品となりました。
続編への展開
本作の興行的・批評的成功を受けて、トッド・フィリップス監督による続編『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』(2024年10月公開)が制作されました。続編はミュージカル映画形式で、レディー・ガガがハーレイ・クイン役で出演しましたが、興行成績は前作を大きく下回り、批評家・観客の評価も分かれる結果となりました。本作の独立した完成度の高さが、続編企画の困難さを逆説的に証明する形となっています。
