カールじいさんの空飛ぶ家が無料で全話見れる動画配信はどれ|考察、ネタバレ、タダで見る方法も解説

2009年

『カールじいさんの空飛ぶ家』が見れる動画配信サービス

現在、Disney+ で視聴できます。

配信サービス視聴可否
Netflix
Amazon Prime Video
Disney+視聴可能
Hulu
U-NEXT

『カールじいさんの空飛ぶ家』とは?作品の見どころ

数千個の色とりどりの風船を屋根に括りつけた古い木造の家が、ふわりと宙に浮かびます――『カールじいさんの空飛ぶ家』は、78歳の偏屈な老人カール・フレドリクセンが、亡き妻エリーとの長年の約束を果たすため、自宅をそのまま気球にして南米の伝説の秘境「パラダイス・フォール」を目指す、ピクサー作品史上最も詩的な長編アニメーションです。屋根に括りつけられた風船の数の正確さ、ふわふわと浮かぶ家の重力感、開いた窓から見える景色のドラマ性――観客は最初の約10分間で、カールとエリーの結婚から死別までの人生を台詞なしで描いた伝説のシークエンスに、すでに涙を流すことになります。

本作は2009年5月29日に米国で公開されたピクサー・アニメーション・スタジオ製作の長編アニメーション映画。配給はウォルト・ディズニー・ピクチャーズ。監督はピート・ドクター(『モンスターズ・インク』に続く長編監督2作目)、共同監督・脚本はボブ・ピーターソン。脚本はピート・ドクターとボブ・ピーターソンの共同。製作はジョナス・リヴェラ、製作総指揮はジョン・ラセター、音楽はマイケル・ジアッキーノ。

見どころは、本編冒頭の「カールとエリーの結婚生活を台詞なしで描く約4分間のシークエンス」です。マイケル・ジアッキーノの楽曲『Married Life』が流れる中、二人の出会い・結婚・新婚生活・子作りに関する悲しい知らせ・家を建てる夢・老いてエリーが先に逝くまでの全人生が、わずか4分強の音楽と仕草だけで完璧に綴られていきます。これは映画史上でも屈指の感動的なシークエンスとして広く認められており、本作のテーマ全体の核心を担います。第82回アカデミー賞長編アニメーション賞・オリジナル作曲賞のW受賞、作品賞ノミネート(長編アニメーションとしては『美女と野獣』に次ぐ史上2作品目)。世界興行収入累計約7億3500万米ドル。

『カールじいさんの空飛ぶ家』を全話無料で見る方法

結論として、2026年4月時点で『カールじいさんの空飛ぶ家』を国内で見放題視聴できる動画配信サービスは、ディズニープラス(Disney+)のみです。Disney+の見放題プランに登録すれば、本編のフル視聴が可能で、字幕版・吹替版の両方が用意されています。

Disney+(ディズニープラス)

Disney+はWalt Disney Companyが運営する公式の動画配信サービスで、ピクサー作品はすべて本サービスのもとで一元的に提供されています。月額プランは「スタンダード」(990円/月)「プレミアム」(1,320円/月)の2種類があり、必要に応じて画質や同時視聴数を選べます。年額プランも提供されており、年額9,900円(スタンダード)からとなっています。Hulu日本版とのセットプラン「Disney+ × Hulu」も提供されており、両サービスの利用を考えている人にはこちらが選択肢になります。

登録手順:

  1. 公式サイト disneyplus.com/ja-jp にアクセス
  2. 「サインアップ」からアカウントを作成
  3. プランを選択(スタンダード/プレミアム/Huluセット/年額プラン)
  4. 支払い方法を入力(クレジットカード/PayPal/キャリア決済/アプリ決済対応)
  5. 登録完了後、本編をスマートフォン・PC・スマートテレビ・ゲーム機で視聴開始

Disney+はピクサー作品のほか、マーベル作品、スター・ウォーズ作品、20世紀スタジオ作品も同時に見放題で楽しめるため、本作と同監督ピート・ドクターの『モンスターズ・インク』『インサイド・ヘッド』『ソウルフル・ワールド』もまとめて鑑賞することができます。

Hulu(日本版)

本作はHulu日本版でもレンタル配信されています。Disney+ × Huluセットプランの利用者は、両サービスを横断して本作の関連作品を視聴できます。

レンタル・購入(Amazon Prime Video/Apple TV/Google Playなど)

本作は見放題ではないものの、各種PPVサービスではデジタルレンタルおよびデジタル購入が可能です。Disney+に加入しない方針の場合は、Amazon Prime Videoの単話レンタル(数百円台)や購入(千円台)、Apple TV、Google Play Movies、Lemino、TELASA、FODプレミアムなどが利用できます。

Blu-ray・DVD・4K UHD購入

ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパンからBlu-ray・DVD・4K UHDが発売されており、Amazonや家電量販店で安定して入手できます。本編にメイキング映像や監督・スタッフの解説、ピクサー社内の制作ドキュメンタリーを収録した版が選択肢になります。

地上波放送

日本テレビ系『金曜ロードショー』ほか、地上波・BS各局で本作は不定期に放送されてきました。最新の放送スケジュールを各局の公式サイトで確認しておくと、無料で視聴できる機会を逃しません。

あらすじ

一人の少年と一人の少女、そして長い人生

物語は1930年代の米国、少年カール・フレドリクセンが憧れの冒険家チャールズ・マンツの活躍を記録するニュース映画を観る場面から始まります。マンツは「失敗した動物標本」をめぐる学術スキャンダルから世間に裏切られ、南米の秘境「パラダイス・フォール」へと姿を消したと噂されていました。家路で偶然出会った活発な少女エリーが、自分も冒険好きでパラダイス・フォールに憧れていることを話し、二人は「いつか必ず一緒にあそこに行こう」と幼い約束を交わします。

カットが切り替わり、二人は結婚し、街角の古い家を改築して二人で暮らし始めます。冒険資金を貯めるための小銭貯金、カールの仕事中の事故での貯金の使い果たし、子作りの努力と悲しい知らせ、老いて夢の南米への旅を諦めかけたまま、エリーが先に病で逝ってしまいます――この一連の人生は、本編冒頭の約4分間のシークエンスで台詞なしに完璧に描かれます。

78歳のカールと、屋根に風船を括りつける決意

物語は現代に飛び、78歳のカールは独居生活を送っています。彼の家は街の再開発で巨大なビルに囲まれた片隅にあり、不動産業者からの執拗な立ち退き要求に頑固に抵抗していました。ある日のトラブルから不動産業者の人を傷つけてしまい、裁判所はカールに「老人ホームに移ること」を命じます。

カールは老人ホームのバンが家に到着する朝、家のあらゆる窓から数千個の風船を放出させ、自宅をそのまま「気球」として南米の秘境パラダイス・フォールへ向かわせる、生涯最後の冒険を決行します。家がふわりと浮き上がる場面の躍動感は、本作の最大のスペクタクルとして観客の心を捉えます。

同行人ラッセルと、空中の冒険

カールが家を浮かせた直後、玄関の外に「ラッセル」という8歳の少年が立っていることに気づきます。彼は「老人を助ける」ためのウィルダネス・エクスプローラーズ(ボーイスカウトに似た団体)の最後の徽章を獲得するため、カールの家のドアを叩いていたのでした。家ごと空に浮き上がってしまった少年を、カールは渋々一緒に連れて行くことになります。

二人は嵐に巻き込まれ、何とかパラダイス・フォールの近くに不時着します。家を引きずって最終目的地まで運ぼうとするカールとラッセルの長い旅路。途中で出会うのは、絶滅したと思われていた巨大な色鮮やかな鳥「ケビン」(実はメス)、人語をしゃべる首輪をつけたゴールデン・レトリバーの「ダグ」、そしてダグの仲間たちの犬の集団でした。

やがて二人は、伝説の冒険家チャールズ・マンツその人と出会います。彼はパラダイス・フォールに70年以上隠遁し、絶滅したと言われていた鳥(ケビン)を捕まえて世間からの汚名を返上することだけを生きがいにしていた、孤独で執念深い老人になっていました。物語は、カールが「家への執着」と「人生の本当の目的」のあいだで葛藤しながら、新しい家族を見つけていく感動の終盤へと進んでいきます。

登場人物

カール・フレドリクセン(声:エド・アズナー/日本語版:飯島哲蔵)

本作の主人公。78歳の元風船売りで、亡き妻エリーとの夢である南米のパラダイス・フォール行きを果たすため、自宅を風船で浮かせて空への冒険に出る偏屈な老人。彼の口癖「Stop pestering me!(俺をうるさがらせるな!)」は本作のキャッチフレーズとして広く知られています。エド・アズナーの抑え気味の発声法が、彼の哀しみと頑固さの両面を完璧に支えました。

ラッセル(声:ジョーダン・ナガイ/日本語版:佐藤瞳)

8歳の少年で、ウィルダネス・エクスプローラーズ団体の最後の徽章「老人を助ける」を獲得するため、カールの家のドアを叩いていた、本作のもう一人の主人公。父親が自分のもとを離れ、新しい家族を持っていることを抱える孤独な少年で、カールにとって「もう一つの家族」として機能していきます。日系米国人の少年俳優ジョーダン・ナガイが収録時8歳で起用されました。

ダグ(声:ボブ・ピーターソン/日本語版:)

ゴールデン・レトリバーの大型犬で、首輪に「動物の声を人語に翻訳する装置」が取り付けられているため、人間と話すことができる驚きのキャラクター。素朴で愛らしい性格で、彼の「I have just met you, and I love you(君と今出会ったばかりだけど、もう君のことが大好きだよ)」という台詞は、本作の最も愛されるラインとして知られています。共同監督のボブ・ピーターソンが声を担当しました。

ケビン(メス)

パラダイス・フォールで偶然出会う、絶滅したと思われていた巨大な色鮮やかな鳥。直接的な台詞はありませんが、本作のコメディと感情の重要な役を担います。マンツが70年以上にわたって追い求めてきた獲物として、本作のクライマックスの中心軸を担います。

チャールズ・マンツ(声:クリストファー・プラマー/日本語版:林清人)

カールが少年時代に憧れた伝説の冒険家。長年「動物標本のスキャンダル」によって世間から否定されてきた経歴を持ち、現在も南米の秘境で隠遁生活を送りながら、自分の汚名を返上する執念に取り憑かれた、本作の悪役。クリストファー・プラマーは『サウンド・オブ・ミュージック』『プラマー4ヴァティカン』で広く知られる名優で、彼の威厳のある発声法が、マンツの孤独と狂気の両面を完璧に支えました。

エリー・フレドリクセン(声:エリー・ドクター/日本語版:)

カールの妻。本作の冒頭シーンと回想シーンで登場するキャラクターで、活発で冒険好きな性格。台詞は限定的ですが、本作のテーマと感情線の核を担う重要な存在。声を演じるエリー・ドクターは、ピート・ドクター監督本人の娘です。

アルファ/ベータ/ガンマ(声:ボブ・ピーターソン/デルロイ・リンドー/ジェロム・ランフト/日本語版:)

ダグと同じ群れの犬たち。マンツが訓練したアグレッシブな番犬として、本作のクライマックスでダグを追い詰める役を担います。アルファ犬は声色装置の不調で「キーキー声」になっており、コメディ要素も担います。

スタッフ・キャスト陣

監督はピート・ドクター。本作は彼の長編監督2作目で、『モンスターズ・インク』に続くピクサー作品です。共同監督はボブ・ピーターソンで、彼は本作のダグ、アルファの声も担当しています。脚本はピート・ドクターとボブ・ピーターソンの共同。原案にはトム・マッカーシーも参加しています。

本作のアイデアの起点は、ピート・ドクターが「忙しい現代社会から逃げ出して、誰にも邪魔されない場所に行きたい」という大人の願望を、78歳の老人の冒険として描けないかと構想したことでした。彼は本作のためにベネズエラ南東部の「テプイ」(卓越した平頂台地)を実地取材し、本作のパラダイス・フォールのデザインに完璧に反映させました。テプイは映画『ロスト・ワールド』の舞台のモデルでもあります。

音楽はマイケル・ジアッキーノ。本作のために書き下ろした楽曲『Married Life』は、本編冒頭4分のシークエンスを支える主題曲として、観客の涙を誘う伝説的な楽曲となりました。本作のスコアは第82回アカデミー賞オリジナル作曲賞を受賞しています。これはジアッキーノにとって初のアカデミー賞受賞でした。

主演キャスト

カール・フレドリクセン役のエド・アズナーは、米国の人気テレビ番組『メアリー・タイラー・ムーア・ショー』『ルー・グラント』で広く知られる俳優・コメディアン。本作の収録時点で79歳で、カールの年齢に近い人物の発声で、本作のメインの感情線を完璧に支えました。彼は2021年に91歳で逝去しています。

ラッセル役のジョーダン・ナガイは、収録時8歳の日系米国人の少年。声優としての職業経験はほとんどなく、ピクサーのスタッフが彼を毎日スタジオに連れ込み、彼が自然に喜びや興奮を表現する瞬間を録音していくという、ピクサー伝統の収録工程が採用されました。

チャールズ・マンツ役のクリストファー・プラマーは、『サウンド・オブ・ミュージック』『プラマー4ヴァティカン』『The Insider』で広く知られる名優で、当時79歳。彼の威厳のある声色が、悪役マンツの孤独と狂気の両面を完璧に支えました。彼は2021年に91歳で逝去しています。

ダグ役のボブ・ピーターソンは、本作の共同監督・脚本も担当しているピクサーの社内アーティスト。彼の素朴で愛らしい発声法が、本作のコメディの中心軸を担うダグのキャラクターを完璧に作り上げました。

エリー役のエリー・ドクターは、ピート・ドクター監督本人の娘。父親と子の協力で本作の感情線の核となる役を演じきりました。

日本語吹替版では、カール役を飯島哲蔵、マンツ役を林清人が担当。日本声優界・俳優界のベテラン陣が脇を固めました。

興行収入・話題

興行収入・話題

『カールじいさんの空飛ぶ家』は2009年5月29日に米国で公開されました。米国国内の最終興行収入は約2億9300万米ドル、世界興行収入は累計で約7億3500万米ドルに達しました。2009年の世界興行ランキングで第6位、長編アニメーションでは『アイス・エイジ3』『モンスターVSエイリアン』を上回る年間第2位を記録しました。日本では2009年12月公開で、配給収入は約44億円、興行収入は約76億円超を記録しています。

本作の興行は、ピクサー作品としては『ファインディング・ニモ』『Mr.インクレディブル』『カーズ』『レミーのおいしいレストラン』『ウォーリー』に続く7作連続のメガヒットを達成し、ピクサーが世界のアニメーション業界をリードするスタジオであることを完全に確固たるものにしました。

評価・受賞歴

第82回アカデミー賞では5部門にノミネートされ、長編アニメーション賞とオリジナル作曲賞のW受賞を果たしました。さらに最大の特筆事項は、本作が長編アニメーション映画として作品賞(最高賞)にノミネートされたという事実で、これは『美女と野獣』(1991年)に次ぐ史上2作品目の偉業でした。本作以前は1991年以来、長編アニメーションは作品賞にノミネートされたことがなく、本作の成功を機にアカデミーは長編アニメーション部門の地位を再評価する契機となりました。

第67回ゴールデングローブ賞アニメーション映画賞、第63回英国アカデミー賞アニメーション映画賞、第37回アニー賞長編アニメーション作品賞、第30回ロサンゼルス映画批評家協会賞長編アニメーション作品賞、放送映画批評家協会賞アニメーション映画賞ほか、世界中の主要映画賞でほぼ総なめにしました。

Rotten Tomatoesは98%の高評価、Metacriticは88/100の「universal acclaim」スコアを記録。批評集約スコアでもピクサー作品史上最上位レベルの評価を維持し続けています。本作の冒頭4分のシークエンスは、米国映画史を代表する伝説的なシーンとして広く語り継がれており、本作のテーマである「人生に夢を与え続ける」というメッセージは、世界中の観客の心に深く刻まれた長寿作品として記憶されています。

ネタバレ

※ここからネタバレを含みます。

クライマックス

物語の終盤、カールは伝説の冒険家チャールズ・マンツその人と再会しますが、マンツは絶滅したと思われていた鳥ケビンを捕獲することにすべての人生をかけている、孤独で危険な老人になっていました。マンツは老人ホームのカールを「敵」と認識し、彼とラッセルを亡き者にしようと、自分の犬の群れと共に追跡を始めます。

カールはマンツの飛行船に侵入してケビンを救出しようとしますが、マンツとの空中での激しい一騎討ちが繰り広げられます。決定的な瞬間、カールは亡き妻エリーが書き残した冒険手帳の最終ページを開きます。彼は手帳が冒険の計画ノートだと思い込んでいましたが、実は手帳の後半は、エリーが二人で過ごした日々の写真と「Carl, thanks for the adventure—now go have a new one!(カール、素敵な冒険をありがとう。さあ、新しい冒険に出かけて!)」というメッセージが書かれていたことが明かされます。

カールは、エリーが「南米のパラダイス・フォールに行くこと」ではなく「カールの人生そのもの」を冒険として愛していたという真実を悟り、家への執着から解放されます。彼は自宅をマンツの飛行船にぶつけて「家を捨てる」決意を実行し、ラッセルとケビンを救うため、空中での最後の決闘に勝利します。

結末が示すもの

マンツは飛行船から落下して命を落とし、カールはマンツの巨大な飛行船「スピリット・オブ・アドベンチャー号」と、すべての犬の群れの所有権を獲得します。彼はラッセルを連れて米国に戻り、ラッセルの父親が来るはずだったウィルダネス・エクスプローラーズの最後の徽章授与式に、彼自身が代理として出席します。

ラストシーンでは、カールがラッセルに「Ellie's badge(エリーのバッジ)」――エリーが幼い頃に作った手作りのバッジ――を授与します。これによってカールはラッセルの本当の意味での「お父さん」のような存在となり、二人の新しい家族関係が築かれます。

ラストカットで、カールとラッセルがマンツの古いビルディング型飛行船から街並みを見下ろしながら、カラフルなアイスクリームを食べて雲の流れを眺める場面が描かれます。本作の結末は、「家への執着」を捨てて「人との繋がりを選ぶ」というテーマが完璧な形で結実し、観客に深い感動と希望を手渡してきます。

エンドクレジットでは、ラッセルがウィルダネス・エクスプローラーズで他の徽章も次々に獲得していく様子と、カールとラッセル、ダグ、ケビンの平和な日常が描かれます。本作は、カールとエリーの長い結婚生活を冒頭で描いた後、カールが新しい家族との「もう一つの長い人生」を始める姿で完結する、循環する人生の物語として完成されました。

トリビア

  1. 本編冒頭の約4分間「Married Life」シーケンスは、カールとエリーの結婚から死別までの全人生を、台詞のない音楽と仕草だけで描き切る伝説的なシーンです。マイケル・ジアッキーノの楽曲『Married Life』は、本作のテーマ全体の核心を担います。

  2. 本作は長編アニメーション映画として、作品賞(最高賞)にノミネートされた史上2作品目(1作目は1991年の『美女と野獣』)。本作以前は1991年以来、長編アニメーションは作品賞にノミネートされたことがありませんでした。

  3. 監督ピート・ドクターは本作のためにベネズエラ南東部の「テプイ」(卓越した平頂台地)を実地取材し、本作のパラダイス・フォールのデザインに完璧に反映させました。テプイは映画『ロスト・ワールド』の舞台のモデルでもあります。

  4. ダグ役の声を担当しているのは、本作の共同監督・脚本も担当しているボブ・ピーターソン。彼の素朴で愛らしい発声法が、本作のコメディの中心軸を担うダグのキャラクターを完璧に作り上げました。

  5. エリー役の声を担当しているのは、ピート・ドクター監督本人の娘であるエリー・ドクター。父親と子の協力で本作の感情線の核となる役を演じきりました。

  6. ラッセル役の声を担当しているジョーダン・ナガイは、収録時8歳の日系米国人の少年。彼自身が普段から登山やキャンプに親しんでおり、ラッセルのキャラクター性は彼の実際の人格に大きく影響を受けたとピート・ドクター監督が語っています。

  7. 本作の冒頭シークエンスでカールとエリーが結婚生活を送る家のモデルとなった建物は、シアトルのある老婦人が再開発の中で「立ち退きを拒否し続けた」実在の家でした。本作の制作チームは、この実在の老婦人の物語からインスピレーションを得て、本作の家の象徴性を構築しました。

撮影裏話

撮影の舞台裏

本作の制作は2004年初頭から2009年初夏までの約5年間に及ぶ大規模プロジェクトでした。ピート・ドクター監督は、本作のためにスタジオの全体的な制作体制を「老人を主人公にした長編アニメーション」として再構築する大胆な決断を下しました。当時のハリウッド業界では「子ども向け長編アニメーションの主人公は若い」という商業的な常識が支配的でしたが、ドクターは「78歳の老人を主人公にしても、すべての世代の観客を感動させることができる」と確信し、本作のためにそれを実証する挑戦に挑みました。

キャストの準備

カール役のエド・アズナーは、収録のためにピクサー本社のスタジオに何度も通い、ピート・ドクター監督と何時間も議論を重ねながら、78歳の老人の頑固さと哀しみの両面を声色で表現する難しい挑戦に取り組みました。彼は本作の冒頭シークエンスを録音した際、自分自身の人生体験と重なり合って深く感動したと、後年のインタビューで明かしています。

ラッセル役のジョーダン・ナガイは、収録時8歳の少年。彼自身が普段から登山やキャンプに親しんでおり、ピクサーのスタッフが彼を毎日スタジオに連れ込み、彼が自然に喜びや興奮を表現する瞬間を録音していくという、ピクサー伝統の収録工程が採用されました。

マンツ役のクリストファー・プラマーは、収録のためにロサンゼルスから引き出され、彼の威厳ある冷たい発声法を最大限に発揮しました。本作の収録は、彼の長い俳優キャリア晩年の代表的な仕事の一つとして記憶されています。

技術的な挑戦

本作の最大の技術的挑戦は、数千個の風船で家を浮かべて空中を旅させるという、物理的に荒唐無稽なアイデアを、ピクサーらしい説得力で映像化することでした。ピクサーの開発チームは、本作のために専用の風船シミュレーションシステムを新規開発し、何千個もの風船が個別に物理的な動きを計算する仕組みを実現しました。

また、本作のためにピクサーは『カールとエリーの家』のデザインを綿密に作り込みました。家の各窓・各階段・各小道具がエリーとカールの人生のエピソードと完璧にリンクしており、観客が本編後半で家を見るたびに、冒頭シークエンスで描かれた二人の人生を思い出すという、繊細な構造設計が実現されました。

公開当時の余話

公開時、本作は第62回カンヌ国際映画祭のオープニング作品として選ばれ、世界初の3D長編アニメーションとして同映画祭のコンペティション部門に正式上映されました。これは長編アニメーションがカンヌのオープニングを飾る史上初の事例で、本作の批評的・芸術的な価値が国際映画祭の段階で広く認められた結果です。