ハリー・ポッターと謎のプリンスが無料で全話見れる動画配信はどれ|考察、ネタバレ、タダで見る方法も解説
『ハリー・ポッターと謎のプリンス』が見れる動画配信サービス
現在、Amazon Prime Video・Hulu・U-NEXT で視聴できます。
| 配信サービス | 視聴可否 |
|---|---|
| Netflix | − |
| Amazon Prime Video | 視聴可能 |
| Disney+ | − |
| Hulu | 視聴可能 |
| U-NEXT | 視聴可能 |
『ハリー・ポッターと謎のプリンス』とは?作品の見どころ
「セブルス…プリーズ……」——シリーズで最も愛された人物の一人、アルバス・ダンブルドア校長が天文台塔の頂上で迎える衝撃の最期は、シリーズ第6作『ハリー・ポッターと謎のプリンス』(2009)の最終局面に置かれた歴史的瞬間です。物語は前作のクライマックスでヴォルデモート卿の復活が世間に明らかになった直後の夏休みから始まり、ロンドンのミレニアム・ブリッジが死喰い人によって崩壊させられるという衝撃的な現実描写でシリーズの『戦争映画化』を一気に加速させます。デヴィッド・イェーツが監督として連続2作目を担当、脚本もスティーヴ・クローヴスが復帰し、前作で死を迎えた重要キャラクターに続いてさらに大きな喪失が描かれる重厚な1作です。新任の魔法薬学教授ホラス・スラグホーンを演じるジム・ブロードベント(『アイリス』でアカデミー賞助演男優賞)、ヴォルデモートの『分霊箱(ホークラックス)』の概念の初登場、ハリーが手に入れる『半純血のプリンス』と署名された古びた魔法薬学の教科書の謎——シリーズの最終戦への最後の階段を一気に駆け上がる重要な1作の魅力を、登録だけで全話無料視聴できる動画配信サービスの紹介とあわせて徹底的に解説します。
『ハリー・ポッターと謎のプリンス』を全話無料で見る方法
映画『ハリー・ポッターと謎のプリンス』を全話無料で視聴したい場合、最も確実なのはU-NEXTの31日間無料トライアルを活用する方法です。月額2189円のU-NEXTで本作は見放題配信されており、新規入会者は31日間の無料体験期間中であれば追加料金一切なしでシリーズ全8作を一気見できます。
U-NEXT(31日間無料トライアル)
本作はU-NEXTの見放題対象として配信中。新規入会で31日間の無料体験が用意されており、その期間内であれば一切の追加料金なしで『賢者の石』『秘密の部屋』『アズカバンの囚人』『炎のゴブレット』『不死鳥の騎士団』『謎のプリンス』『死の秘宝Part1』『死の秘宝Part2』のシリーズ全8作と、派生作『ファンタスティック・ビースト』3作までフル視聴可能。登録時に600ポイントが付与されるため、原作小説の電子書籍購入にも応用できます。週末2〜3日でハリポタ世界を一気見する『ホグワーツマラソン』にうってつけのサービスです。
Amazon Prime Video(30日間無料体験)
Amazon Prime Videoでも見放題配信中です。プライム会員月額600円・年額5900円のサービスで、新規入会者には30日間の無料体験が用意されています。Fire TV StickやChromecast連携が容易な点も魅力で、家のテレビでサクサク視聴したい方に最適。お急ぎ便等のEC特典も同時に試せるため、配送特典と組み合わせて利用したい方にも好相性です。
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Netflix(2025年12月より配信再開)
一度2025年6月に配信終了していたNetflix版が、2025年12月から配信再開されています。ただしNetflixも2024年以降、日本では新規ユーザー向け無料体験を提供していないため、初回登録のみで無料視聴したい場合はU-NEXTかPrime Videoを推奨します。すでにNetflix会員の方は追加料金なしで視聴可能です。
本作はレンタル課金や追加購入なしに、上記いずれかの登録だけで合法的に最後まで視聴できます。違法アップロード動画や海賊版ストリーミングは画質・音質が著しく劣るうえセキュリティリスクも伴うため、必ず正規の配信サービスをご利用ください。
あらすじ
ロンドンの中心部で死喰い人がミレニアム・ブリッジを破壊する衝撃のオープニングから、本作は始まります。前作の魔法省での戦いでヴォルデモートの復活が公に確認された後、闇の勢力はもはや隠れる必要がなくなり、マグル界・魔法界の両方で公然とテロ行為を始めていました。書店オリヴァンダーの店主が連れ去られ、ホグワーツの主要な魔法守護者たちにも次々と襲撃の手が伸びます。ハリー・ポッターは6年生としてホグワーツへ戻りますが、夏休みの間に彼は新しい『友人』ホラス・スラグホーン教授を勧誘するためダンブルドアと共に旅をしていました。
スラグホーンは引退して久しい元魔法薬学教授で、生徒の中から将来有望な人材を見抜いて『スラグ・クラブ』という秘密の親睦会を主宰する独特な教師。彼が再びホグワーツに復帰した理由は、若き日のヴォルデモート=トム・リドルに『ホークラックス(分霊箱)』という究極の闇の魔術を教えてしまったという暗い記憶を抱えているからでした。ダンブルドアはスラグホーンの記憶からこの真実を引き出すため、ハリーに彼との交友関係を深めるよう密命を与えます。
6年生になったハリーは魔法薬学の授業で、生徒の使い古した教科書として配布された古い1冊を手に入れます。その本は『半純血のプリンス(The Half-Blood Prince)』と書き込みのある旧版で、無数の手書きの修正・追記によって、教科書通りより遥かに優れた魔法薬を作る方法、そして『リヴィコルパス(逆さ吊り呪文)』『セクタムセンプラ(切り裂き呪文)』など教科書にない呪文まで記されていました。ハリーはこの本のおかげで授業でも頭角を表し、スラグホーンのお気に入りに登り詰めていきます。
一方、ハーマイオニーはロンへの淡い恋心を確かなものにしますが、ロンはラベンダー・ブラウンに無神経な公開恋愛を始めてしまい、ハーマイオニーの心を傷つけます。ジニー・ウィーズリーへのハリーの恋心も静かに芽生え始め、シリーズ屈指の『恋愛シーズン』が学園に到来します。同時にハリーは、ドラコ・マルフォイがホグワーツ内部で何かの陰謀を進めていることを察知。ヴォルデモートに与えられた『恐ろしい使命』を抱えたドラコの動向を追い続けます。
物語の中盤、ダンブルドアとハリーは『分霊箱』に関する重要な情報を集めるため、海岸の岩の洞窟へと冒険に出かけます。そこで彼らが直面する『絶望と幻覚の池』、そして帰路でハリーが目撃する天文台塔の最期の場面——シリーズ全体の流れが激変する歴史的なクライマックスへと物語は突き進んでいくのです。
登場人物
本作で初登場する重要キャラクターたち、そして以前から登場していた人物の新たな側面が露呈する1作です。
■ ハリー・ポッター: 16歳。前作で名付け親シリウスを失った悲しみと、自分が『選ばれし者』である運命の重みを背負いながら、それでも仲間と共に進む覚悟を固めていく1作。ジニー・ウィーズリーへの恋心が成熟していく様子も丁寧に描かれます。
■ ホラス・スラグホーン: 新任の魔法薬学教授。長身でガッシリした体つきの初老の魔法使いで、ベルト下の腹にはホグワーツ史上最大級の食欲が眠ります。生徒の中から『コネクションのある優秀な子』を選んで親睦会『スラグ・クラブ』に招くという独特な教育スタイルを持ち、表面は陽気で社交的、内面はトラウマを抱えた孤独な人物。シリーズで最も人間味のある教師の一人です。
■ ドラコ・マルフォイ: シリーズで初めて主役級の演技を見せます。父ルシウスがアズカバン送りとなり、母ナルシッサが死喰い人としての人生を覚悟させられる中、ドラコ自身もヴォルデモートから直接『恐ろしい使命』を与えられて精神的に追い詰められていきます。本作のドラコの孤独と絶望は、シリーズ全体の中でも屈指の重みを持ちます。
■ アルバス・ダンブルドア: 本作のダンブルドアは『一つの手が黒く焼け焦げて死につつある状態』で登場し、彼が思っていたより遥かに弱い存在であることが明かされていきます。ハリーへの遺言、最後の旅、そして天文台塔での最期——シリーズ全体の精神的支柱の最後の輝きです。
■ セブルス・スネイプ: シリーズで最も重要な転換点を迎えるキャラクター。ナルシッサ・マルフォイから『破られざる誓い(アンブレイカブル・ヴォウ)』を立てさせられ、ドラコの使命を肩代わりすることを誓います。終盤の彼の行動が、シリーズ全体のミステリーの核心を形成していきます。
■ ジニー・ウィーズリー: ロンの妹。前作までは『憧れの目でハリーを見る恥ずかしがり屋の妹』でしたが、本作で彼女は自分の意志で行動する強い女性として成長。ハリーとの初キスはシリーズ屈指の名場面の一つです。
■ ラベンダー・ブラウン: グリフィンドール寮の同級生で、ロンに猛烈なアプローチをかける天真爛漫な少女。ハーマイオニーの心を傷つける恋愛劇の引き金となりますが、本作のコメディ要素を担う愛すべきキャラクターでもあります。
■ ベラトリックス・レストレンジ: 前作で姉夫人ナルシッサを支える役回りで、本作冒頭の『破られざる誓い』の場面でも重要な触媒となります。スネイプを警戒する彼女の鋭い視線がシリーズ後半の伏線を形成します。
■ フェンリル・グレイバック: 凶暴な人狼の死喰い人。子どもを人狼にすることを楽しむ恐ろしい怪物で、本作のテロ行為の中心的存在です。
■ ナルシッサ・マルフォイ: ドラコの母。普段は氷のように冷たい純血主義者ですが、本作の冒頭ではドラコを救うために妹ベラトリックスと共にスネイプの家を訪れ、必死で息子の命を守ろうとする母性が露わになります。
スタッフ・キャスト陣
本作のキャスト陣は前作のレギュラー陣に加え、英国の超一流ベテラン俳優が新キャラクターとして加わった豪華な布陣です。
ホラス・スラグホーン役のジム・ブロードベントは英国演劇界の大ベテラン。『ムーラン・ルージュ』(2001)『アイリス』(2001)でアカデミー賞助演男優賞を受賞、『ブリジット・ジョーンズの日記』シリーズや『パディントン』シリーズでも知られる名優です。スラグホーンの『食欲とコネと自虐の混じった独特な人物像』を完璧に演じ、シリーズで最も愛される教師の一人を生み出しました。彼は撮影前に原作を熟読し、原作者J.K.ローリングと『スラグホーンとは何者か』について長時間議論したと語っています。
ハリー・ポッター役のダニエル・ラドクリフは19歳。本作では『初恋』『友人の信頼を裏切らないこと』『ダンブルドアとの最後の旅』など複雑な感情を演じる必要があり、彼の俳優としての成熟が完成した1作です。本作と同時期に舞台『エクウス』のロンドン公演を完了し、ハリウッド屈指の若手実力派俳優としての地位を確立しました。
ロン・ウィーズリー役のルパート・グリントは『恋に翻弄されるコメディ・パート』を一手に担い、ラベンダー・ブラウンとの公開恋愛シーンや惚れ薬騒動でシリーズ屈指の笑える場面を作り上げました。
ハーマイオニー・グレンジャー役のエマ・ワトソンは19歳。本作で彼女が見せる『ロンへの恋心の傷つき方』は、シリーズで最も繊細な感情演技の一つで、彼女の女優としての到達点を示す重要な仕事となりました。
ドラコ・マルフォイ役のトム・フェルトンは22歳。本作で彼は初めて『主役級の存在感』を発揮し、廊下で泣くシーンや必要の部屋で消去呪文を試すシーンなど、シリーズで最も繊細な演技を披露しました。フェルトン自身も本作のドラコ役を『シリーズで最もチャレンジングだった1作』と語っています。
セブルス・スネイプ役のアラン・リックマンは本作で最も重要なキャラクター展開を迎えます。J.K.ローリングからスネイプの最終的な真相を初めから共有されていたリックマンは、本作の終盤の演技に向けて『1作目から仕込んできた伏線をすべて回収する仕事』として臨んだと語っています。
アルバス・ダンブルドア役のマイケル・ガンボンは、本作で最後の主役級登場を迎えます。彼が演じる『黒く焼け焦げた手と弱った身体』を抱える校長像は、リチャード・ハリス時代の温かさとはまた違う、悲しみと諦観を伴う深い演技となりました。ガンボン自身は2023年10月に82歳で逝去しています。
ベラトリックス・レストレンジ役のヘレナ・ボナム=カーター、ナルシッサ・マルフォイ役のヘレン・マックロリー、フェンリル・グレイバック役のデイヴ・レジェノなど、本作で初登場・本格登場するキャラクターを演じる俳優陣も実力派揃い。とくにヘレン・マックロリーは『ピーキー・ブラインダーズ』(2013-2022)で世界的に活躍する名女優ですが、2021年に55歳で早逝しています。
監督デヴィッド・イェーツは前作に続く2作目で、撮影監督ブリュノ・デルボネルと組んで、前作よりさらに暗くシネマティックな映像美を実現しました。デルボネルは『アメリ』(2001)『ハリー・ポッター』のクリス・コロンバスとも仕事をしてきたフランス系撮影監督で、特に分霊箱探しの洞窟シーンの『暗闇に浮かぶ青白い光』はシリーズ屈指の美しい場面となりました。
音楽は前作に続いてニコラス・フーパー。本作のスコアは『恋愛主題と闇の主題の同時進行』が特徴で、ジニーとハリーの初キスシーンの『When Ginny Kissed Harry』は、シリーズ屈指のロマンティックな主題として愛されています。
興行収入・話題
2009年7月15日に世界同時公開された『ハリー・ポッターと謎のプリンス』は、最終的な世界興行収入9億3441万6487ドルを記録。2009年公開作品の世界興行ランキングで『アバター』(28億ドル)に次ぐ第2位を獲得しました。歴代映画興行収入では当時の世界第19位という超大作レベルの数字で、シリーズで最も期待値が高かった1作の片鱗を示しました。
日本では2009年7月15日に公開され、初週6日間で22億円という驚異的な興行成績を叩き出しました(シネマトゥデイ報道)。最終的な日本興行収入は80億円を記録、2009年の年間洋画ランキング2位(『2012』に次ぐ)を獲得。シリーズの中盤戦としては、当時のシリーズで最高水準の集客を維持していた状況がうかがえます。
批評家からの評価も総じて高く、Rotten Tomatoesの批評家スコアは83%、Metacriticは78点。映画評論家ロジャー・イーバートは『シリーズの中で最も視覚的に美しい1作』と評価し、特にダンブルドアとハリーの洞窟シーンを『絶望と希望の融合した古典的な映画美』と称賛しました。
第82回アカデミー賞では撮影賞ノミネートを獲得。撮影監督ブリュノ・デルボネルの仕事が国際的に評価されました。第63回英国アカデミー賞(BAFTA)でも撮影賞・特殊効果賞・プロダクションデザイン賞・衣装賞・音楽賞・サウンド賞・ビジュアルエフェクト賞の7部門にノミネートされる超高評価ぶり。シリーズの撮影と美術の到達点として記憶されています。
本作の興行的成功は『シリーズ最終2部作』への期待を一気に高め、続く『死の秘宝Part1』『死の秘宝Part2』へとシリーズの最終決戦が向かう道筋を完璧に整えました。原作の最終巻『死の秘宝』を2部作として映画化するという『ハリポタ史上最も野心的な決断』も、本作の興行的成功なくしては実現しなかったと言われています。2024年から2025年の世界各地の再公開興行でも本作は『シリーズ屈指の映像美』として人気タイトルとなっており、累計世界興行収入は再公開分を含めて10億ドルを超えました。
ネタバレ
【以下、結末まで含むネタバレを多数含みます】
クライマックスでダンブルドアとハリーは、海岸の岩の洞窟へと『分霊箱(ホークラックス)』の捜索に向かいます。原作で初めて『分霊箱』の概念が完全に明かされるシーンで、ダンブルドアは『ヴォルデモートが自分の魂を7つに分割して、それぞれを物体に隠した』という恐ろしい闇の魔術の存在をハリーに伝えます。すでに破壊された日記(『秘密の部屋』のリドルの日記)、ガウントの指輪(ダンブルドアが手を焼かれた原因)、そして本作で取り戻すロケット——分霊箱を全て破壊しなければヴォルデモートは死にません。
洞窟の中でダンブルドアは『絶望と幻覚を引き起こす毒の池』の水を飲み干します。ハリーは涙を流すダンブルドアにスプーンで毒を飲ませ続けます——シリーズ屈指の悲痛な場面です。やっと洞窟を抜け出した二人ですが、ダンブルドアは衰弱し、ロケットを抱えて辛うじてホグワーツへ戻ります。
しかしホグワーツでは、ドラコ・マルフォイがヴォルデモートから与えられた『恐ろしい使命』——ダンブルドアの暗殺——を実行する瞬間が迫っていました。ドラコは必要の部屋で『姿現し棚(ヴァニッシング・キャビネット)』を秘密裏に修復し、これを使って死喰い人の集団を校内へ侵入させていたのです。ハリーが報告に向かう前にドラコが校長室に現れ、瀕死のダンブルドアに杖を向けます。しかしドラコは『殺人を犯す』という決定的な一線を越えられず、躊躇します。
そこへ駆けつけたのがセブルス・スネイプ教授。死喰い人の助けと共に天文台塔の最上階に現れたスネイプは、ダンブルドアの『セブルス、頼む(Severus, please)』というささやき声を受けて、容赦なく『アバダケダブラ(死の呪い)』を発動。ダンブルドアは緑の閃光に貫かれて天文台塔の縁から落下し、命を落とします。シリーズで最も精神的支柱となっていた人物の壮絶な死は、観客に巨大な喪失をもたらしました。
隠れて見ていたハリーが激しい怒りでスネイプを追いかけます。校庭でハリーが『セクタムセンプラ』『インカルセラス』など『半純血のプリンス』の教科書から学んだ呪文を放ちますが、スネイプはすべて軽々と防御。そして決定的な台詞——『俺は半純血のプリンスだ』。スネイプ自身が『半純血のプリンス』であり、ハリーが教科書から学んでいた呪文はすべて若き日のスネイプが発明したものだったのです。スネイプの母親エイリーン・プリンスがマグルと結婚した『半純血(ハーフブラッド)』であり、彼女の旧姓『プリンス(Prince)』を名乗ることでスネイプは少年時代の自分のアイデンティティを刻んでいたのでした。
葬儀の場面で、ホグワーツの全員と魔法界の重鎮たちがダンブルドアの死を悼みます。フォークス(不死鳥)が悲しい歌で別れを告げ、ハリーは『次なる戦い』への覚悟を新たにします。
しかし最大のどんでん返しは終盤に明かされます。ダンブルドアと共に手に入れたロケットを開けてみると、それは本物の分霊箱ではなく、別の人物がすでに本物を奪取していた『偽物(レプリカ)』だったのです。中には署名『R.A.B.』のメッセージ——『ダーク・ロードよ、私はあなたが死ぬまでにあなたの分霊箱を全て破壊することを誓う』。R.A.B.の正体、本物のロケットの行方、そして残りの分霊箱の捜索——すべては続編『死の秘宝』へと持ち越されます。
ハリーはロンとハーマイオニーに『来年はホグワーツに戻らない。一緒に分霊箱を探しに行く』と宣言。3人の絶対的な絆が確認されるラストは、シリーズ最終決戦への決意の表明として、観客の心に深い余韻を残します。
トリビア
■ ジム・ブロードベントのスラグホーン役: ジム・ブロードベント自身は当初『シリーズには別の人を起用すべき』と謙遜していましたが、デヴィッド・イェーツ監督が『他の誰でもない、彼でなければスラグホーンは演じられない』と説得した経緯があります。撮影前にブロードベントは原作6巻を3度読み返し、スラグホーンの『陽気さと孤独』のバランスを役作りで完璧に表現しました。
■ ダンブルドアの黒い手: マイケル・ガンボンが演じる『焼け焦げた左手』は、特殊メイクで毎日3時間かけて作成。ガンボンは『手にビーフ・ジャーキーを巻いて演じている気分だった』とインタビューで冗談を飛ばしました。撮影スタッフは彼の手の包帯を毎カット細かくチェックする緊張感のある仕事だったと振り返っています。
■ ジニーとハリーの初キス: 本作のジニーとハリーの初キス・シーンは、必要の部屋(隠し小部屋)を舞台に撮影されました。ダニエル・ラドクリフとボニー・ライトは当時実年齢が近く、撮影は1日で完了しましたが、初々しい雰囲気を作るため複数のテイクが撮られたとボニー・ライトが語っています。
■ 分霊箱の洞窟セット: 海岸の岩の洞窟は実物大のセットとして撮影所内に建造され、池の水は実際に何千リットルも張られました。ダニエル・ラドクリフとマイケル・ガンボンは長時間の水濡れ撮影に挑み、特にガンボンは70歳近い高齢のため、撮影中の体調管理に万全を期したと言われています。
■ 撮影監督ブリュノ・デルボネル: フランス出身の撮影監督。彼が手がけた『アメリ』(2001)の柔らかい光と、本作の青白い洞窟の暗闇のコントラストは、彼の撮影監督としての多彩さを示します。本作のアカデミー賞撮影賞ノミネートは、シリーズ全体を通じて唯一の同部門ノミネートで、撮影面での到達点として記憶されています。
■ ロンドン・ミレニアム・ブリッジ崩壊: 冒頭のミレニアム・ブリッジ崩壊シーンは、CGとミニチュアの融合で撮影。実際のミレニアム・ブリッジを部分的に再現し、CGで橋桁が捻じれて崩落する様子を表現しました。当時のロンドン市民から『現実の橋を傷つけないでくれ』という冗談混じりの心配の声が寄せられたと、撮影チームが回想しています。
■ 半純血のプリンスの教科書: 古い教科書はビニタージスタイルで作られ、表紙の擦り切れ具合や書き込みの色合いまで一冊ずつ手作業で再現。スネイプ役のアラン・リックマン自身が『この本にどれだけ若き日の私が刻まれているか想像してほしい』と感慨深げに語ったエピソードが残ります。
■ ダンブルドアの葬儀シーン: 当初の脚本では原作通りに『校外でダンブルドアの葬儀を盛大に行うシーン』が予定されていましたが、デヴィッド・イェーツ監督が『シリーズの最終2部作に向けて静謐なラストを置くべき』と判断し、簡略化された天文台塔上での杖を掲げる追悼シーンに変更しました。これは原作ファンの一部から批判もありましたが、結果的にシリーズ屈指の感動的な静かなラストとなりました。
■ 撮影期間中のストライキ: 本作の撮影は2007〜2008年で、当時米国脚本家組合のストライキがあり、世界の映画業界が混乱していた時期と重なりました。デヴィッド・イェーツ監督と脚本スティーヴ・クローヴスは事前に脚本を完成させていたため大きな影響は受けませんでしたが、本作の世界公開が当初予定の2008年11月から2009年7月へと延期になった一因とも言われています。
■ 公開延期の影響: 当初2008年11月に予定されていた公開が2009年7月へと延期されたことで、ワーナーブラザースは『より大きな興行収入を狙える夏休み公開』を選択。結果として本作は世界興収9.34億ドルというシリーズ屈指の数字を達成しました。
撮影裏話
デヴィッド・イェーツ監督が本作で取り組んだ最大の課題は『シリーズ屈指の長大な原作小説(652ページ)を、最終決戦の準備として機能する1作に仕上げる』ことでした。原作の魅力である『恋愛劇とミステリー』『分霊箱の謎』『ダンブルドアとハリーの最後の絆』『ドラコの孤独』を全て映画化に組み込みつつ、最終2部作への緊張感を高める難題に対し、イェーツ監督と脚本スティーヴ・クローヴスは『感情のリアリティを最優先する』選択で応えました。結果として本作はシリーズで最もティーン・ロマンスのコメディと、闇のサスペンスの両立に成功した1作となりました。
プロダクション・デザインのスチュアート・クレイグは、ホグワーツの新しいセットを多数追加。スラグホーン教授の研究室、ダンブルドアの校長室の細部、スラグ・クラブの晩餐パーティー会場、ペンシーブ(憂いの篩)の記憶世界の中など、シリーズで最も視覚的に多様な1作となりました。とくにペンシーブ世界の『若き日のトム・リドルとスラグホーンの会話シーン』は、CGとセットの融合で『記憶の中の透明感のある世界』を表現する技術的傑作となりました。
撮影監督ブリュノ・デルボネルの仕事は本作の最大の見どころの一つです。彼は『色彩を抑え、自然光と闇のコントラストを強調する』アプローチを徹底し、ハリポタ史上最もムードのある映像を作り上げました。とくに洞窟シーンの青白い光、天文台塔の月明かり、ダンブルドアの死の場面の静かな闇は、彼自身がアカデミー賞撮影賞ノミネートを獲得する理由となりました。
VFX面では、洞窟の池から這い出る『生きる屍(インフェリ)』の大群が最大の挑戦でした。VFXスーパーバイザーのティム・バーク率いるチームは、何百体もの腐乱した死体が水中から襲いかかってくる悪夢的な場面を、CGとアニマトロニクスの融合で構築。ハリポタ史上最もホラー要素の強いシーンの一つとして仕上がりました。
音楽はニコラス・フーパー。本作のサウンドトラックは恋愛と闇の二層構造で、『When Ginny Kissed Harry』(ジニーとのキスの主題)『The Story Begins』(物語のオープニング)『The Cave』(洞窟の主題)『Dumbledore's Farewell』(ダンブルドアの別れ)など、シリーズで最もメロディアスな音楽群を多数生み出しました。とくに『Dumbledore's Farewell』は、シリーズ全体を象徴する追悼の主題として、後の最終2部作でも繰り返し使われていきます。
また、本作のクライマックスである『天文台塔のシーン』は、シリーズで最も繊細な演出が要求される撮影でした。マイケル・ガンボン、ダニエル・ラドクリフ、トム・フェルトン、アラン・リックマン全員が『シリーズ全体で1度きりの瞬間』として臨み、リハーサルから本番まで約2週間の準備期間が設けられました。リックマン自身は撮影の数日前から人と話さなくなり、スネイプの『誓い(アンブレイカブル・ヴォウ)』を抱える孤独に集中していたとイェーツ監督が振り返っています。
本作はシリーズ後半4作の中で唯一アカデミー賞撮影賞ノミネートを獲得し、英国アカデミー賞(BAFTA)では7部門ノミネートを受けるという『技術的傑作』としての地位を確立しました。デヴィッド・イェーツ監督は本作で確立した『感情のリアリティと最終戦への準備の両立』というスタイルを、続く『死の秘宝Part1』『死の秘宝Part2』へとそのまま発展させていきます。シリーズ終盤の最大の伏線回収である『R.A.B.の謎』『分霊箱の所在』『スネイプの真の忠誠』を全て次作へと持ち越す本作のラストは、観客にシリーズ最終決戦への決意を共有させる完璧な橋渡しとなりました。