ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団が無料で全話見れる動画配信はどれ|考察、ネタバレ、タダで見る方法も解説

2007年

『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』が見れる動画配信サービス

現在、Amazon Prime Video・Hulu・U-NEXT で視聴できます。

配信サービス視聴可否
Netflix
Amazon Prime Video視聴可能
Disney+
Hulu視聴可能
U-NEXT視聴可能

『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』とは?作品の見どころ

「私は嘘を申し上げてはなりません」——羽根ペンで自らの手の甲に文字を刻まされる残虐な罰則授業が、シリーズ第5作『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』(2007)の最も象徴的なシーンとなりました。前作『炎のゴブレット』のラストでヴォルデモート卿の復活を目撃したハリーですが、魔法省はその真実を頑なに認めようとせず、世論はハリーを『嘘つき少年』として叩き始めます。本作では魔法省から派遣された新任教師ドローレス・アンブリッジが校内で独裁政治を始め、闇の魔術に対する防衛術の授業を実技抜きの座学だけに変えてしまいます。これに反発したハリー、ロン、ハーマイオニーは秘密の防衛術同好会『ダンブルドア軍団(D.A.)』を結成。同時にハリーはオクルメンシー(閉心術)の訓練を始め、シリウス・ブラック、ベラトリックス・レストレンジ、ルーナ・ラブグッドなどシリーズ後半を彩る重要キャラクターが続々と登場・退場していきます。本作からデヴィッド・イェーツが監督に就任しシリーズ最終作までの4作を担当する転換点でもあります。世界興行収入9億4200万ドルを記録し、2007年公開作品の世界興収で第2位を獲得した本作の魅力を、登録だけで全話無料視聴できる動画配信サービスの紹介とあわせて徹底解説します。

『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』を全話無料で見る方法

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U-NEXT(31日間無料トライアル)

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Amazon Prime Video(30日間無料体験)

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Netflix(2025年12月より配信再開)

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本作はレンタル課金や追加購入なしに、上記いずれかの登録だけで合法的に最後まで視聴できます。違法アップロード動画や海賊版ストリーミングは画質・音質が著しく劣るうえセキュリティリスクも伴うため、必ず正規の配信サービスをご利用ください。

あらすじ

夏休みのある日、ロンドン郊外プリベット通り近くの地下道でハリーといとこのダドリーが、ディメンター(吸魂鬼)2体に襲われます。誰もいないはずのマグル界にディメンターが現れた異常事態にハリーは咄嗟に守護霊の呪文『エクスペクト・パトローナム』を放ち、ダドリーと自分の魂を救出しますが、未成年の魔法使いがマグル界で魔法を使ったことで魔法省から退学処分通告が届きます。シリウス・ブラックを保護者として暮らす不死鳥の騎士団の本部『グリモールド・プレイス12番地』でハリーが知ったのは——魔法大臣コーネリウス・ファッジが『ヴォルデモートは復活していない』と頑なに主張し、ダンブルドアと真実を語る者たちを徹底的に追い詰める政治的キャンペーンを展開しているという衝撃的な現実でした。

ハリーの懲戒尋問に魔法省が出席するという異例の事態の中、ダンブルドアの介入により無事退学処分を免れたハリーは、5年生としてホグワーツへ戻ります。校内には魔法省から派遣された新任教師ドローレス・アンブリッジが赴任しており、彼女は闇の魔術に対する防衛術の授業を実技抜きの『教科書朗読のみ』に変更。生徒たちは『現実には闇の魔法使いと戦う必要などない』というプロパガンダ授業を受けさせられます。アンブリッジは罰則として『私は嘘を申し上げてはなりません』を羽根ペンで生徒の手の甲に直接刻ませる残虐な拷問道具を使い、生徒たちを怯えさせました。

ハリー、ロン、ハーマイオニーは生徒たちが本当の防衛術を学ぶ必要性を痛感し、隠れ家『必要の部屋』で秘密の同好会『ダンブルドア軍団(D.A.)』を結成。ハリーが教師役となって、武装解除呪文『エクスペリアームス』、守護霊の呪文『エクスペクト・パトローナム』、気絶呪文『ステューピファイ』など実戦的な魔法を仲間たちに教え始めます。同じころ、ハリーはO.W.L(普通魔法使いレベル試験)の準備に追われ、さらに『ヴォルデモートと精神的な繋がりがある』ことを察知したダンブルドアの指示でセブルス・スネイプから『閉心術(オクルメンシー)』を学ぶことになります。

しかしアンブリッジは校内政治をエスカレートさせ、ついにダンブルドアを追放してホグワーツの校長になります。ハリーは突如、シリウスが魔法省『神秘部』で拷問を受けている幻覚を見ます。シリウスを救うため、ハリーはロン、ハーマイオニー、ネビル、ジニー、ルーナ・ラブグッドの仲間たちと共に夜のロンドン魔法省へ侵入。そこで彼らを待ち受けていたのは、シリウスの『救出』ではなく、ヴォルデモート卿が仕掛けた壮大な罠でした。

登場人物

本作で初登場するキャラクターは、シリーズ後半から最終作まで重要な役割を担う面々です。

■ ハリー・ポッター: 15歳。世間からの誤解と心の中のヴォルデモートとの繋がりに苦しみ、シリーズで最も内向的で怒りっぽい1作。同時に教師としての才能を発揮し、ダンブルドア軍団のリーダーとして仲間を率いていく成長も描かれます。チョウ・チャンとの初キスもこの巻の重要なエピソードです。

■ ドローレス・アンブリッジ: ピンクのカーディガンと猫の絵皿で部屋を埋め尽くす、可愛らしい外見の魔法省官僚教師。しかし内面は権力への執着と冷酷さに満ちた政治的怪物で、シリーズ全体で『ヴォルデモートよりも憎まれた』と原作者J.K.ローリングが認めるキャラクター。彼女の『私は嘘を申し上げてはなりません』の罰則授業はシリーズ屈指の戦慄場面です。

■ シリウス・ブラック: ハリーの名付け親で、グリモールド・プレイス12番地の屋敷で12年間の孤独な隠れ家生活を送る。ハリーにとって唯一の家族であり、本作のクライマックスで悲劇的な運命を迎えます。

■ ベラトリックス・レストレンジ: ヴォルデモート卿の最も忠実で凶暴な女信奉者。シリウスの従姉妹にあたり、12年間アズカバン監獄に収監されていましたが、本作冒頭で他の死喰い人と共に脱獄します。狂気に満ちた笑い声と無慈悲さで、シリーズ屈指の女性ヴィランとなります。

■ ルーナ・ラブグッド: ホグワーツのレイブンクロー寮の4年生。父が陰謀論誌『ザ・クィブラー』の編集長で、彼女自身も人とは少し違う角度で世界を見る不思議な少女。死を見た者だけが見えるテストラル(骸骨馬)が見えるという伏線が、彼女がハリーと心を通わせる重要なきっかけとなります。

■ ニンファドーラ・トンクス: 不死鳥の騎士団のメンバーで、若い闇祓い(オーロル)。髪と顔を自由に変えられるメタモルマグスの能力を持ち、明るく陽気でハリーの良き友人となります。

■ ルパート・スクリムジョール: 後の魔法大臣となる人物の前任ファッジが、コーネリウス・ファッジ(マイケル・ロックウッド)。彼の『現実逃避』はシリーズ後半の主要テーマである権力者の腐敗を象徴します。

■ チョウ・チャン: ハリーの初恋相手。前作『炎のゴブレット』で死亡したセドリック・ディゴリーの恋人だった彼女と、ハリーは複雑な感情を抱えた初キスを交わします。

■ ニーヴィル・ロングボトム: 内気な同級生でしたが、ダンブルドア軍団のメンバーとして魔法の腕を磨き、本作のクライマックスでは仲間と共に戦う勇敢な姿を見せます。彼の家族の悲しい過去(両親が死喰い人に拷問された)もこの巻で明かされます。

■ アルバス・ダンブルドア: 魔法省と全面対決し、ホグワーツを追放されてしまう校長。物語のクライマックスでヴォルデモートと公の場で初の決闘を繰り広げ、闇の帝王が再臨したことを世界に知らしめます。

スタッフ・キャスト陣

本作のキャスト陣はシリーズで最も拡張され、英国演劇界の重鎮が次々と新キャラクター役として加わりました。

ドローレス・アンブリッジ役のイメルダ・スタウントンは英国演劇界の重鎮で、『ヴェラ・ドレイク』(2004)でアカデミー賞主演女優賞ノミネートを受けた名女優。ピンクの服装と猫の趣味、優しげな笑顔と冷酷な内面を完璧に演じ分け、本作で『ヴィラン演技の頂点』を見せました。後にNetflixドラマ『ザ・クラウン』(2022-2023)でエリザベス女王役を演じるなど、英国国民的女優としての地位を確立しています。

ベラトリックス・レストレンジ役のヘレナ・ボナム=カーターは、ティム・バートン監督作品の常連として知られる英国の名女優。『英国万歳!』(1994)『キングス・スピーチ』(2010)でアカデミー賞ノミネートを受けた実力派で、本作以降シリーズ最終作まで一貫してベラトリックスを演じ続けます。彼女の狂気的な笑い声と動きはほぼアドリブで、デヴィッド・イェーツ監督が『彼女に自由を与えた結果、伝説的なヴィランが誕生した』と語っています。

ルーナ・ラブグッド役のイヴァナ・リンチは、北アイルランド出身の当時14歳の新人。原作の熱狂的なファンで、オーディションには2万人以上の応募があった中から選ばれました。彼女自身が原作のルーナ像を完全に理解しており、不思議な視線と独特の話し方は彼女の地のままだったとプロデューサーが証言しています。本作以降シリーズ全作に出演し、ハリポタ世代を代表する女優となりました。

ニンファドーラ・トンクス役のナタリア・テナは英国出身の若手俳優。後に『ゲーム・オブ・スローンズ』(2011-)でオシャ役を演じて世界的に認知されます。本作のトンクスはピンクの髪型が印象的で、彼女自身がアコーディオン奏者でもある音楽的バックグラウンドを活かしてキャラクターに躍動感を与えました。

ハリー・ポッター役のダニエル・ラドクリフは17歳。本作では『初恋』『仲間との対立』『ヴォルデモートとの精神的繋がりに苦しむ』など複雑な感情を演じ分け、子役から本格的な俳優への脱皮を完成させました。本作の撮影と並行して舞台『エクウス』(2007)で全裸演技に挑むなど、子役イメージから抜け出す野心的な選択をしています。

ロン・ウィーズリー役のルパート・グリント、ハーマイオニー・グレンジャー役のエマ・ワトソンも17歳前後。3人とも完全な思春期に入り、撮影現場での演技ディレクションも子役向けから大人向けに変わったとデヴィッド・イェーツ監督が述べています。

本作からシリーズ監督として参入したデヴィッド・イェーツは、英国BBCのテレビ・ドラマで実績を積んだ演出家。『ステート・オブ・プレイ』(2003)『ガールフレンド・ピクチャーズ』(2005)など『政治的な物語を緊張感あふれる映像で語る』スタイルで知られ、本作以降『謎のプリンス』『死の秘宝Part1』『死の秘宝Part2』とシリーズ後半全4作を一貫して監督します。彼の『脚本に厳格、演出に大胆』というスタイルがシリーズの最終的なトーンを決定づけました。

本作からの脚本担当はマイケル・ゴールデンバーグ。ジョージ・ルーカス制作『コンタクト』(1997)などのSF脚本で知られる作家で、シリーズで唯一スティーヴ・クローヴスから外れた1作です。彼は原作の870ページに及ぶ最長小説を2時間18分の映画に圧縮するという困難な任務をこなしました。

音楽はニコラス・フーパー。デヴィッド・イェーツ監督との長年のテレビ仕事のパートナーで、本作と次作『謎のプリンス』を担当します。彼は前作までのジョン・ウィリアムズ・パトリック・ドイルが築いた音楽的アイデンティティを尊重しつつ、独自の暗めのスコアを加えて、シリーズの『大人化』をサウンド面でも推進しました。

興行収入・話題

2007年7月11日に英国、7月13日に米国で公開された『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』は、最終的な世界興行収入9億4200万ドル(うち北米2億9240万ドル)を記録。2007年公開作品の世界興行ランキングで『パイレーツ・オブ・カリビアン: ワールド・エンド』に次ぐ第2位を獲得しました。北米以外の海外市場では6億5000万ドル超を稼ぎ、シリーズ屈指の海外人気を誇る1作となっています。

日本では2007年7月20日に公開され、年間興行収入94億円を記録。2007年の年間洋画ランキング1位の座を獲得し、シリーズ初公開から6年連続でハリー・ポッターが日本のスクリーンを支配する結果となりました。同年公開の『パイレーツ・オブ・カリビアン: ワールド・エンド』『トランスフォーマー』などの強力な競合作と並んでも、シリーズ独自の安定した観客動員を維持できた点は驚異的です。

批評家の評価も高く、Rotten Tomatoesの批評家スコアは77%、Metacriticは71点。映画評論家ロジャー・イーバートは『シリーズ最も短いランタイムだが、最も濃密な政治ドラマ』と評し、特にイメルダ・スタウントンのアンブリッジ演技を『今年最高の映画的悪役』と称賛しました。第80回アカデミー賞では特殊効果のノミネートはなりませんでしたが、第61回英国アカデミー賞(BAFTA)では特殊視覚効果賞・プロダクションデザイン賞にノミネートされる高評価を獲得。

本作の成功はデヴィッド・イェーツ監督の路線継続を確実にし、続く『謎のプリンス』『死の秘宝Part1』『死の秘宝Part2』へとシリーズ最終決戦への道筋が固まりました。シリーズ後半4作を一貫して同じ監督が手がけるという珍しい体制は、最終作までの物語の連続性と視覚的アイデンティティの統一性を確保する上で決定的な貢献を果たしました。

2024年から2025年の世界各地での再公開興行でも本作は『シリーズ屈指の政治劇』として人気タイトルに選ばれ、累計世界興行収入は再公開分を含めて10億ドルを超えました。とくに2020年代後半の現代社会で『真実を語る者を否定する権力者』というテーマが多くの観客に再評価され、本作の重要性が改めて認識されています。

ネタバレ

【以下、結末まで含むネタバレを多数含みます】

クライマックスでハリー、ロン、ハーマイオニー、ネビル、ジニー、ルーナの6人は夜の魔法省『神秘部(Department of Mysteries)』へ侵入します。シリウス・ブラックが拷問を受けている幻覚を見たハリーが救出を急いだのですが、待っていたのは仕掛けられた罠でした。神秘部の予言の間で、ハリーはガラスの球の中の予言『S.P.T. to A.P.W.B.D., Dark Lord and Harry Potter』を発見します——『闇の帝王と等しき力を持つ者が生まれる…そしてどちらかが他方の手で死なねば、もう一方は生きられない』。これがハリーとヴォルデモートの最終決戦を運命づけた予言だったのです。

そこへ、ルシウス・マルフォイ率いる死喰い人の集団が現れ、予言を奪おうとします。狂気の女ベラトリックス・レストレンジは槍のような笑い声を上げながらハリーたちに襲いかかります。6人組は神秘部の数々の謎の部屋——脳の浮かぶ池、回転する扉の間、時間の部屋——を駆け抜け、必死に死喰い人と戦います。ネビル、ジニー、ルーナの『ダンブルドア軍団』で鍛えた魔法が見事に発動する場面は、シリーズ屈指の感動的なシーンの一つです。

しかし戦力的には圧倒的不利。絶体絶命の瞬間、不死鳥の騎士団のメンバーたちが救援に駆けつけます——シリウス・ブラック、リーマス・ルーピン、ニンファドーラ・トンクス、マッドアイ・ムーディ(本物)、キングズリー・シャックルボルト。シリウスは『よくやった、相棒よ』とハリーに声をかけ、従姉妹のベラトリックスと激しい決闘を繰り広げます。シリウスがベラトリックスをからかいながら戦う中、彼女が放った呪文の閃光が直撃。シリウスは『ベールの彼方』の死の帳の向こうへと、永遠に消え去ってしまうのです。

ハリーの絶叫とシリウス喪失の瞬間は、シリーズで最も悲痛な場面の一つ。シリウスは血の繋がりこそないものの、ハリーにとって父の代わりであり唯一の家族でした。憤怒に駆られたハリーはベラトリックスを追って魔法省のアトリウムへ。そこにヴォルデモート卿本人が姿を現し、シリーズで初めてヴォルデモートとダンブルドアが公の場で正面から決闘するという歴史的な場面が展開されます。両者の魔法は破壊的な威力を発揮し、ガラスの天井を粉砕、噴水の彫像を生命体のように動かして魔法省の中央広場を破壊します。

ヴォルデモートはハリーの体に乗り移ろうとしますが、ハリーが心の中で『シリウスを思う』瞬間、ヴォルデモートはハリーの『愛と痛みに満ちた魂』に耐えきれず逃げ出します。これがハリーの『ヴォルデモートが理解できない最強の力=愛』の表現で、シリーズ全体のテーマの核心です。死喰い人とヴォルデモートはアトリウムから逃走しますが、その瞬間、復活帰還した魔法大臣ファッジを含む魔法省職員多数がヴォルデモートの存在を直接目撃。これによりファッジは『ヴォルデモートは戻っていない』という1年がかりのプロパガンダが完全に崩壊し、辞任に追い込まれます。

終盤、ダンブルドアはハリーに予言の全貌を伝えます——ハリーとヴォルデモートのどちらか一方が他方を倒さない限り、両者ともに生き続けることができない。シリーズの最終決戦への道筋が、本作で完全に固められたのです。シリウスを失い、運命の重みを背負ったハリーが、ホグワーツ特急で帰路につくラストシーンは『成長した16歳の魔法使いの覚悟』を静かに描く名場面となっています。

トリビア

■ アンブリッジの罰則授業道具: アンブリッジが生徒に使う『血で書く羽根ペン(Black Quill)』は、原作のアイデアをほぼそのまま再現した小道具です。ハリーが書くたびに自分の手の甲に同じ文字が刻まれるという拷問用具で、ダニエル・ラドクリフは撮影で実際に手の甲に痕がつくほどの集中演技を見せました。撮影後、彼自身が『シリーズで最も精神的に疲れた撮影』と語っています。

■ 必要の部屋のセット: ダンブルドア軍団が秘密の練習場として使う『必要の部屋(Room of Requirement)』は、撮影所内に巨大なセットとして建造。鏡張りの壁、訓練マネキン、各種魔法書、フライング・ターゲットなど、原作の描写を細部まで再現しました。鏡の壁は実際に何百枚もの古い学校の鏡を集めて配置したもので、撮影中の照明調整に最も時間がかかったセットの一つだったと言われます。

■ ベラトリックスの脱獄シーン: 冒頭のアズカバン脱獄シーンで、ヘレナ・ボナム=カーターは『カメラに向かってにやりと笑う』即興シーンを披露。デヴィッド・イェーツ監督はこのアドリブを気に入って採用し、結果としてベラトリックスのキャラクター性を一発で観客に印象づけることに成功しました。

■ ルーナ役オーディション: ルーナ・ラブグッド役には全英で1万5千人以上の少女が応募。最終候補に残った数十人の中からイヴァナ・リンチが選ばれた決め手は『彼女が本物のルーナだった』というデヴィッド・イェーツ監督の言葉です。リンチは原作の熱心なファンで、入院中の母を励ますために手紙を書いて原作者J.K.ローリングと文通していた経緯もあります。

■ 神秘部のセット: 予言の間に並ぶ『予言の球』は実際にガラス玉を一つずつ手作業で並べた巨大セットで、約1万5千個のガラス玉が使われました。撮影中は照明スタッフがガラスの反射に苦しめられ、『シリーズで最も光線管理が難しいセット』として記憶されています。

■ 原作の章削除: 原作小説870ページのうち、映画化で大幅にカットされたシーンとして『クィディッチの試合』『ハグリッドの巨大な弟グロウプの登場』『チョウ・チャンとの恋愛場面の詳細』『ネビルが両親を病院で見舞うシーン』などがあります。これらは熱心な原作ファンが『見たかった』とよく挙げる削除シーンです。

■ 思春期の主役3人: 撮影中、主役3人とも急速な成長期で、特にダニエル・ラドクリフは撮影中に身長が4cm伸びました。アンブリッジの教室シーンでは『目線の高さが日々変わる』ため、椅子の高さや机の高さを毎日調整する必要があったとカメラスタッフが証言しています。

■ ダニエル・ラドクリフの舞台『エクウス』: 本作撮影と並行してロンドンの劇場で『エクウス』に主演し、全裸演技を披露して話題を集めました。これは『子役のイメージから抜け出す』戦略的選択で、本作のハリーが内面的に苦しむ演技と並行して、ラドクリフ自身も俳優として成長していった時期です。

■ ホグワーツ特急の最後の場面: 5人組のラストシーンでハリーが『シリウスを失った悲しみ』を仲間と共有する場面は、当初は神秘部での戦闘シーンの直後に置く予定でしたが、デヴィッド・イェーツ監督が『戦闘の余韻を残すため敢えて静かなラストにする』と決断。シリーズで最も余韻深いラストシーンの一つとなりました。

撮影裏話

デヴィッド・イェーツ監督が本作で最も重視したのは『政治劇としてのハリー・ポッター』でした。前任マイク・ニューウェルが構築した『ティーン・ドラマと闇のサスペンスの両立』を踏襲しつつ、本作では『真実を否定する権力者』『独裁的な校長』『密告と監視』など、現代社会への寓話としての要素を強く前面に押し出しました。イェーツ監督は英国BBCで政治ドラマを多く手がけてきた経歴があり、本作のアンブリッジ統治下のホグワーツを『1930年代のドイツや東欧の独裁政権』のメタファーとして描いたと自ら明言しています。

プロダクション・デザインのスチュアート・クレイグは前作までの英国の温かい木造建築風ホグワーツに、アンブリッジが校内を支配するにつれて『ピンクと白の毒々しいインテリア』を加えていく細やかな演出を施しました。最初は1教室、次いで職員室の壁、ついには校内全域のドアと壁——アンブリッジの権力拡大が視覚的に分かる『色の侵食』はシリーズ屈指の美術的工夫として評価されています。

撮影監督スワヴォミール・イジャクはポーランド出身の名カメラマンで、彼の起用はイェーツ監督の『東欧的な抑圧的雰囲気』へのこだわりの結果です。彼は手持ちカメラと長回しを多用し、アンブリッジの教室シーンや神秘部の戦闘シーンに緊張感のあるドキュメンタリー風のリアリズムを与えました。とくに神秘部の長いトラッキング・ショットは『ハリポタ史上最も技術的に困難な撮影』として記憶されています。

VFX面では、神秘部のクライマックス——ヴォルデモートとダンブルドアの決闘で天井が崩落・噴水彫像が生命体化するシーン——が本作最大の挑戦でした。ジム・ベリヒィル率いるVFXチームは『ヴォルデモートの炎の蛇』『ダンブルドアの炎の鎖』『黄金の彫像が手刀でハリーを守る』などを完全CGで構築し、それまでのシリーズで最もダイナミックな魔法決闘シーンを実現しました。

音楽はニコラス・フーパー。デヴィッド・イェーツ監督とのテレビドラマ仕事の流れで起用されたフーパーは、ジョン・ウィリアムズの『Hedwig's Theme』をメインタイトルでのみ使用し、本編では独自の暗めのスコアを多用するという思い切った選択をしました。アンブリッジのテーマには可愛らしいハープシコードを、神秘部の戦闘には不協和音の弦楽を当てて、シリーズの後半作品の音響的アイデンティティを確立しました。

本作は原作小説870ページ(シリーズ最長)を2時間18分という最短のランタイムに圧縮した1作で、脚本マイケル・ゴールデンバーグの腕の見せどころでした。彼は『ハーマイオニーの仕事(屋敷しもべ妖精解放戦線S.P.E.W.)』『ハグリッドの異母弟グロウプ』『コルニリウス・ファッジの政治的駆け引きの大半』などをカット。代わりに『アンブリッジの恐怖政治』『ダンブルドア軍団の結成』『神秘部の戦い』に集中して、政治ドラマとアクション・ファンタジーの両立を完成させました。

また、本作の撮影中には主役3人ともが完全な思春期に突入し、性格や演技スタイルが大きく変化していった時期でもありました。エマ・ワトソンは『撮影日々が学校生活そのものだった』と語り、ダニエル・ラドクリフは並行して舞台『エクウス』に主演するなど、彼ら自身の俳優としての成長と、ハリポタのキャラクターの成長が見事にシンクロしていきました。

本作はシリーズで初めて『成人映画の手法』を全面採用した1作とも評され、デヴィッド・イェーツ監督による方針転換は続く『謎のプリンス』『死の秘宝Part1』『死の秘宝Part2』へと一貫して継承されていきます。シリーズ前半の『家族向け魔法ファンタジー』からシリーズ後半の『戦争映画/政治劇/喪失の物語』への完全な移行は、本作なくしては成り立たなかったと多くの批評家が認めています。