セッションが無料で全話見れる動画配信はどれ|考察、ネタバレ、タダで見る方法も解説

2014年
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『セッション』が見れる動画配信サービス

現在、Hulu・U-NEXT で視聴できます。

配信サービス視聴可否
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Hulu視聴可能
U-NEXT視聴可能

『セッション』とは?作品の見どころ

ニューヨーク、夜のシェイファー音楽院。練習室の小さな扉の向こうから、ひとりの新入生がドラムスティックを握って必死にハイハットを叩く音が漏れています。19歳のアンドリュー・ニーマンの夢は、伝説のジャズドラマー、バディ・リッチを継ぐような偉大な音楽家になること。彼の前に現れるのが、学院の中で恐れられる指揮者テレンス・フレッチャー。彼は穏やかな笑顔で「もう少しだけ早めに」と告げ、次の瞬間には椅子を投げ、罵声を浴びせ、メンバーを冷酷に切り捨てる男です。本作は、その指揮者と若きドラマーの「教える側と教わる側」の歪んだ関係を、息の詰まるテンポで一直線に走り抜ける、近年の音楽映画の到達点です。

2014年に公開されたアメリカ映画で、ジャンルは音楽を題材にした心理サスペンスです。監督と脚本はデイミアン・チャゼル。本作以降『ラ・ラ・ランド』『ファースト・マン』『バビロン』へと続いていく彼のキャリアの、衝撃的なデビュー長編です。アンドリュー・ニーマン役にマイルズ・テラー、テレンス・フレッチャー役にJ・K・シモンズ、ニコル役にメリッサ・ベノイト、ライアン役にオースティン・ストウェル、アンドリューの父役にポール・ライザーが配されています。撮影はシャロン・メイア、音楽はジャスティン・ハーウィッツ。

最大の見どころは、汗、血、そしてドラムスティックの破片が画面に飛び散る音楽演奏シーンと、その背景にあるフレッチャーとアンドリューの執着的な関係を、編集と撮影とサウンドが一体となって走り抜けるテンポ設計にあります。J・K・シモンズが本作で見せた狂気と知性の混じり合う芝居は、第87回アカデミー助演男優賞をはじめ、その年の主要な助演男優賞を独占しました。

『セッション』を全話無料で見る方法

『セッション』を全話無料で見る方法は、現時点での日本国内の主要動画配信サービスでは、HuluとU-NEXTの2つのサブスクリプションのいずれかに加入することです。いずれもサービスへの登録だけで、追加課金なしに最後まで視聴できます。

Hulu

日本のHuluに加入していれば、見放題ライブラリ内で本作を視聴できます。Huluは月額料金型で、加入後すぐにライブラリの全てが利用できます。スマートフォンアプリ、テレビ用アプリ、ブラウザに対応しており、Huluは時期によって無料体験キャンペーンが提供されることがあるため、最新状況は公式サイトで確認してください。

U-NEXT

U-NEXTでは、月額プランに加入すれば見放題作品として本作を再生できます。新規登録時に無料体験が用意されているケースもあり、その期間内に視聴することも可能です。U-NEXTは大画面のテレビ用アプリやスマートフォン、ブラウザに対応しており、自宅のリビングでじっくり鑑賞するスタイルにも向きます。

そのほか、Apple TVやGoogle Play Movies、Amazon Videoといったデジタル販売プラットフォームでは、レンタルや購入の選択肢があります。これらは「無料の手段ではないが、視聴ルートとして補足」しておきます。Netflix、Amazon Prime Video、Disney+の日本版では、現時点で本作の見放題配信は行われていません。

あらすじ

物語の始まり

物語の舞台はニューヨークの架空の名門音楽院、シェイファー・コンサーバトリー。本作の主人公アンドリュー・ニーマンは、入学したばかりの19歳のドラマー。寡黙で気難しい父との二人暮らしのなか、家族に「将来の有名な音楽家になる」と公言できる才能のひらめきを、自分の手で確かめようとしています。深夜の練習室、ひとりでメトロノームに合わせて細かいハイハットを刻むその後ろで、扉が静かに開きます。学院でもっとも恐れられる指揮者テレンス・フレッチャーが、彼の練習の一部始終を観察していたのです。

主人公を待ち受けるもの

数日後、フレッチャーがアンドリューを学院最高峰のスタジオ・バンドに招き入れます。最初こそ夢の舞台に立つことの興奮が彼を満たしますが、初日のリハーサルから空気は一転します。フレッチャーは演奏中の些細なテンポの揺れを聞き取り、奏者の正面で「もう少し早かったか、遅かったか」と問いかけます。アンドリューが言葉に詰まった瞬間、椅子が彼の頭めがけて飛んできます。罵声、平手打ち、長時間の楽曲の繰り返し――彼の指南は、徹底した恐怖と屈辱で構成されており、生徒の身体と精神の両方を限界まで追い込みます。

アンドリューはフレッチャーの目に留まり続けることだけを考え、ドラムスティックを血が出るほど握りしめて練習を続けます。練習室での孤独な時間が日々長くなり、家族との食事は険悪なものとなり、付き合い始めたばかりの恋人ニコルとの関係も短期間で終わりを迎えます。彼の目には、フレッチャーから「Not quite my tempo(俺のテンポじゃない)」と告げられないことだけが、世界に残されたゴールであるかのように見え始めます。

物語の中盤、フレッチャーが取り上げるエピソードのひとつに、伝説のジャズドラマー、ジョー・ジョーンズと若き日のチャーリー・パーカーの逸話が登場します。「シンバルを投げつけられて笑い者になった夜の翌朝、パーカーはひとりで練習を始め、何年か後に伝説のソロを吹いた」――フレッチャーはこの逸話を、自分の指導法を正当化する核心として語ります。アンドリューは彼の哲学にますます引き寄せられ、自身の限界を超えるためにあらゆる代償を支払う準備を整えていきます。

登場人物

アンドリュー・ニーマン(演:マイルズ・テラー)

本作の主人公。ニューヨークの架空の音楽院シェイファー・コンサーバトリーに入学したばかりの19歳のジャズドラマー。寡黙な父親との二人暮らしのなかで自身の才能を試し続けてきた彼は、フレッチャーのバンドに招かれることで本格的な「教える側と教わる側」の関係に巻き込まれます。マイルズ・テラーは本作のために自身でドラムを激しく叩く演技を引き受け、現場での演奏を実際に行ったことで、本作の場面の臨場感が大きく支えられました。

テレンス・フレッチャー(演:J・K・シモンズ)

シェイファー・コンサーバトリーの指揮者で、学院でもっとも恐れられている人物。穏やかな笑顔と知的な物腰の奥に、生徒を限界まで追い込む冷酷さを隠し持つ複雑な人物です。「Not quite my tempo」という静かな指示と、椅子を投げつけてテンポを問い詰める激しい指導の落差が、本作のもっとも忘れがたい場面群を作り上げています。J・K・シモンズは本作で第87回アカデミー助演男優賞を含む、その年のあらゆる主要な助演男優賞を席巻しました。

ニコル(演:メリッサ・ベノイト)

アンドリューが大学キャンパスのカフェで出会う若い女性。明るく素直な大学生として描かれ、彼との数回の食事を通じて関係が始まります。アンドリューが自身の音楽への執着を理由に彼女との関係を一方的に断ち切る本作の中盤の場面は、フレッチャーの哲学が少年に何を犠牲にさせ得るかを観客に手渡す重要なシーンとなっています。メリッサ・ベノイトは後年『スーパーガール』のテレビシリーズの主演として広く知られていきます。

ライアン(演:オースティン・ストウェル)

スタジオ・バンドのもうひとりのドラマーで、アンドリューにとって直接の競争相手。フレッチャーが楽譜のフォルダーを巡る心理戦をしかける一連のシーンで、本作のもっとも理不尽な恐怖の場面を共有することになります。

ジム・ニーマン(演:ポール・ライザー)

アンドリューの父親。寡黙で温厚な学校教師として描かれ、息子の音楽への執着を心配しながらも、対話の引き出しが少ないタイプの父親として登場します。本作の中盤の家族の食事シーンで、彼の存在感が物語の感情の対比軸を担います。

スタッフ・キャスト陣

監督と脚本はデイミアン・チャゼル。本作は彼の長編劇映画の第2作目(実質的な世界デビュー作)にあたり、彼自身の高校時代のジャズバンドでの体験を素材に書かれた半自伝的な作品です。チャゼルは脚本完成後、まず短編版『Whiplash』を2013年のサンダンス映画祭で発表して評価を獲得し、その勢いを土台に本作の長編版の製作費を調達しました。本作以降、彼は『ラ・ラ・ランド』『ファースト・マン』『バビロン』へとキャリアを伸ばしていきます。

撮影監督はシャロン・メイア。本作のために、ドラム演奏のシーンの「指先のアップ」「シンバルの揺れ」「汗の飛沫」「血の滴」「フレッチャーの目線」を、極端に短いカットを連続させる形で組み立てる撮影設計を採用しました。本作の演奏シーンは、ほぼすべて編集の段階でリズムが組み立てられており、編集のトム・クロスは第87回アカデミー編集賞を受賞しています。

音楽はジャスティン・ハーウィッツ。チャゼルの長年のパートナーであり、本作以降のチャゼル作品の音楽もすべて彼が担当しています。本作のメインテーマ「Whiplash」と、終盤の長尺の演奏曲「Caravan」のアレンジは、本作の楽曲設計の中心を担っています。

主演キャスト

アンドリュー役のマイルズ・テラーは、本作以前は『ファミリー・ツリー』『The Spectacular Now』などで実力を評価されていた俳優ですが、本作で世界的な注目を集めました。本作のためにドラムの猛特訓を行い、撮影中の演奏シーンの大半を本人の演奏で組み立てるという真摯な役作りを進めました。

テレンス・フレッチャー役のJ・K・シモンズは、本作以前から『JUNO/ジュノ』『スパイダーマン』シリーズなどで性格俳優として実績を積んできた人物。本作のフレッチャーは、彼自身のキャリアの絶頂期の代表作のひとつとして、第87回アカデミー助演男優賞、第72回ゴールデングローブ賞助演男優賞、第21回全米映画俳優組合賞助演男優賞、第68回英国アカデミー賞助演男優賞ほか、その年のあらゆる主要な助演男優賞を独占しました。

ニコル役のメリッサ・ベノイト、ライアン役のオースティン・ストウェル、父役のポール・ライザーら脇役陣も、本作の限られた出演時間のなかで、それぞれの役どころを的確に支えています。

興行収入・話題

興行収入・話題

製作費は約330万ドル。世界興行収入は5000万ドル超を記録し、当時のインディペンデント系作品としては桁違いの大成功となりました。サンダンス映画祭での初披露からアカデミー賞のシーズンに至るまで、本作は批評と観客の両方から高い支持を受け続け、長期にわたる劇場上映を経てロングセラー作品となりました。日本でも長期上映と各種放映を通じて、音楽映画の代表作のひとつとして観客に届き続けています。

評価・受賞歴

第87回アカデミー賞では作品賞、脚色賞、助演男優賞、編集賞、音響編集賞の5部門にノミネートされ、助演男優賞(J・K・シモンズ)、編集賞(トム・クロス)、音響編集賞(クレイグ・マン、ベン・ウィルキンス、トーマス・カーリー)の3部門を受賞しました。第30回サンダンス映画祭では審査員大賞・観客賞をダブル受賞、第68回英国アカデミー賞では助演男優賞、編集賞、音響賞の3部門を受賞しています。批評家団体やファン投票によるオールタイムベスト選にも繰り返し登場し続けています。

ネタバレ

※ここからネタバレを含みます。

クライマックス

物語の中盤、アンドリューはフレッチャーの指導下で限界を超えていきます。事故に巻き込まれた直後にもかかわらず、血まみれのまま会場へ向かい、ドラムを叩こうとする場面は、本作のもっとも痛切な瞬間のひとつです。彼はその場で公演を台無しにしてしまい、フレッチャーから即座にバンドから追放され、最終的には学院を退学する事態に至ります。

物語の中盤後、アンドリューは音楽から一時的に距離を取り、家族との時間を取り戻そうとします。父との関係も静かに修復に向かい、彼が再び日常に戻る兆しが描かれます。けれども、ある日、アンドリューは街角で、学院から去ったフレッチャー本人に偶然再会します。フレッチャーはバーの片隅でジャズの演奏を続けており、ふたりは互いの近況を交わします。フレッチャーは彼を、ニューヨークの音楽祭の自身の指揮するバンドに「ドラマーとして1曲だけ参加してほしい」と誘います。

クライマックスは、その音楽祭の本番です。最初に演奏を始めたアンドリューは、自身の知らない楽曲がフレッチャーの指揮で始まることに気付き、追いつけずに演奏が崩壊していきます。フレッチャーは舞台上で「お前が学院の事件のリークの真犯人だと知っていたんだ」と耳打ちし、彼の音楽家人生を再び破壊する罠だったことが明かされます。アンドリューは舞台袖まで一度引き下がりますが、何かを決意した目で再び舞台に戻り、指揮者の意図を無視して、自身の判断で「Caravan」のドラム・イントロを叩き始めます。

結末が示すもの

戸惑うバンドの面々をも巻き込んで、アンドリューはひたすら超高速のドラムを叩き続けます。フレッチャーは最初は怒りに震えますが、次第に彼の演奏のレベルがそれまで誰も到達したことのない領域に達していくのを目の当たりにし、表情が変わっていきます。長尺のドラムソロが終盤に向かう頃、フレッチャーはアンドリューに小さく合図を送り、ふたりは舞台上で初めて「お互いを認め合う」関係に到達します。観客の歓声、ライトの光、そしてアンドリューの呼吸の荒い息――すべてが画面の上に重なる本作のラストショットは、本作の異様な熱量を凝縮した瞬間として観客の胸に残ります。

本作の結末は、伝統的な意味での「成長物語」のハッピーエンドとは違います。アンドリューは音楽家としての高みに到達した可能性を一瞬掴みますが、それは彼の家族との関係、恋人との関係、肉体的な健康など、あらゆるものを犠牲にした結果でもあります。フレッチャーの「狂気の指導」が果たして正解だったのか、それとも彼が人を破壊しただけなのか――本作はそのどちらの判断も観客に押しつけず、舞台の照明の中での一瞬のドラム音だけを、最後の答えとして残して幕を閉じていきます。

トリビア

  1. デイミアン・チャゼル監督は、本作の脚本を書く前に自身の高校時代のジャズバンドでの体験を綿密にメモしていました。本作のフレッチャーのキャラクターは、現実の特定の指導者を直接モデルとしているわけではないものの、彼自身が音楽の現場で経験した恐怖の蓄積が反映されているとされます。

  2. 本作の長編版の製作費を調達するための準備段階として、チャゼルはまず短編版『Whiplash』を撮影しました。J・K・シモンズが既にフレッチャー役を演じていた18分の短編版は、2013年のサンダンス映画祭の短編部門で審査員賞を受賞し、その評価が長編版の出資を引き出す決め手となりました。

  3. マイルズ・テラーは本作のためにドラムの猛特訓を行い、撮影に向けて週4日のレッスンを長期間続けました。撮影中のドラム演奏のほとんどは本人の演奏で、シャロン・メイアの撮影が彼の手元の動きをそのまま画面に映す形で構成されています。

  4. 本作のもっとも有名な台詞「Not quite my tempo(俺のテンポじゃない)」は、撮影現場でJ・K・シモンズが声色のバリエーションを何種類も試したうえで採用された語り口です。アンドリューが「rushing? or dragging?(早かったのか、遅かったのか)」と聞き返される一連のシーケンスは、本作のもっとも引用される名場面のひとつとなっています。

  5. 本作のクライマックスで演奏される「Caravan」は、ジャズ・スタンダード『キャラバン』(デューク・エリントン他作曲)のアレンジ版です。撮影では9分以上の長尺ドラム・パートが必要とされ、マイルズ・テラーの指と背中には撮影中の負担が残ったとされます。

  6. J・K・シモンズは本作の役作りのために、ニューヨークの音楽教師たちにインタビューを行い、教える側の身体性と声色の細部を取り込みました。本作で見せたフレッチャーの威圧的な姿勢は、彼の俳優人生のなかでもとりわけ徹底した役作りの結果として広く語られます。

  7. 本作の編集を担当したトム・クロスは、本作以降もチャゼル監督作品の常連となります。『ラ・ラ・ランド』『ファースト・マン』『バビロン』いずれの作品でも、彼の編集設計が音楽映画のリズムを支え続けています。

撮影裏話

撮影の舞台裏

本作の撮影は、ロサンゼルスを拠点に約19日間で行われました。撮影スケジュールはきわめて短く、ジャズ・バンドの演奏シーンも限られた時間内に収める必要がありましたが、チャゼル監督は事前のリハーサルとコンテで撮影段取りを徹底的に詰め、現場では効率的な撮影が進行しました。シェイファー・コンサーバトリーの内装は、ロサンゼルスの実在の音楽教育施設の各所をロケ地として組み合わせて作られています。

キャストの準備

マイルズ・テラーは本作の役作りのために、長期間にわたるドラムの集中レッスンに取り組みました。撮影中、彼は本物の指の血を流すレベルの演奏を繰り返し求められ、現場ではメディカル担当が常駐する体制で撮影が進められました。

J・K・シモンズは、フレッチャーの身体性に向けた役作りのために、自身の身体を絞り上げ、姿勢、肩の入り方、腕の角度に至るまでを徹底的に作り込みました。彼が舞台のセットに立つだけで現場の空気が変わるレベルの存在感が、本作の屈指の名場面群を支えています。

技術的な挑戦

本作の最大の技術的挑戦は、ドラム演奏シーンの編集とサウンド・デザインでした。編集トム・クロスは、シャロン・メイアの撮影素材を何百ものショットに分解し、楽曲のリズムにあわせて0.5秒単位でカットを組み合わせる作業を続けました。サウンド・デザイン班は、本作のドラム音、シンバル音、フレッチャーの罵声、ピアノとブラスのバンド音、観客の息遣いを別レイヤーとして層状にミックスし、観客の身体に直接届く音響空間を作り上げました。本作の編集と音響設計は、その後の音楽映画のサウンドのスタンダードを再定義する仕事として、繰り返し参照され続けています。