ホビット 思いがけない冒険が無料で全話見れる動画配信はどれ|考察、ネタバレ、タダで見る方法も解説

2012年

『ホビット 思いがけない冒険』が見れる動画配信サービス

現在、Netflix・Amazon Prime Video・Hulu・U-NEXT で視聴できます。

配信サービス視聴可否
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Hulu視聴可能
U-NEXT視聴可能

『ホビット 思いがけない冒険』とは?作品の見どころ

「冒険には招待状が必要なんですか?(I'm sorry — do you have an invitation?)」——シリーズで最も愛されるホビット族の青年ビルボ・バギンズが、初めて自分の家に押し寄せた13人のドワーフ達と魔法使いガンダルフの『思いがけない訪問』に困惑する場面から、ピーター・ジャクソン監督の新たな中つ国冒険譚『ホビット 思いがけない冒険』(2012)は始まります。J.R.R.トールキンが1937年に発表した児童文学『ホビットの冒険』(『指輪物語』の前日譚)を、3部作として映画化した第1作。前作『ロード・オブ・ザ・リング』3部作(2001-2003)から9年ぶりにピーター・ジャクソン監督が中つ国に帰還し、ビルボ役にマーティン・フリーマン(『シャーロック』のジョン・ワトソン役)、トーリン・オーケンシールド役にリチャード・アーミティッジ(『北と南』『スパイ・ワールド・エンド・オブ・ナイト』)を新たに迎えての超豪華キャスト陣。世界興行収入10億1495万ドルを記録し、当時史上15作目の10億ドル超え達成。さらに史上初の『HFR(ハイフレームレート)3D 48fps』フォーマット上映を実現した技術的革命作の魅力を、登録だけで全話無料視聴できる動画配信サービスの紹介とあわせて徹底解説します。

『ホビット 思いがけない冒険』を全話無料で見る方法

映画『ホビット 思いがけない冒険』を全話無料で視聴したい場合、最も確実なのはU-NEXTの31日間無料トライアルを活用する方法です。月額2189円のU-NEXTで本作は見放題配信されており、新規入会者は31日間の無料体験期間中であれば追加料金一切なしでホビット3部作とロード・オブ・ザ・リング3部作の計6作を一気見できます。

U-NEXT(31日間無料トライアル)

本作はU-NEXTの見放題対象として配信中。新規入会で31日間の無料体験が用意されており、その期間内であれば一切の追加料金なしで『思いがけない冒険』『竜に奪われた王国』『決戦のゆくえ』のホビット3部作と、本編シリーズ『旅の仲間』『二つの塔』『王の帰還』のロード・オブ・ザ・リング3部作までフル視聴可能。さらに31日無料体験中に劇場公開版とエクステンデッド・エディション(各40〜50分の追加映像入り完全版)も両方視聴できる場合があります。登録時に600ポイントが付与されるため、原作小説の電子書籍購入にも応用できます。週末2〜3日で中つ国マラソンを楽しむのに最適なサービスです。

Amazon Prime Video(30日間無料体験)

Amazon Prime Videoでも見放題配信中です。プライム会員月額600円・年額5900円のサービスで、新規入会者には30日間の無料体験が用意されています。Fire TV StickやChromecast連携が容易な点も魅力で、家のテレビで4Kクオリティーで視聴したい方に最適。お急ぎ便等のEC特典も同時に試せるため、配送特典と組み合わせて利用したい方にも好相性です。

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Netflix(配信中)

Netflixでも本作は配信されており、すでにNetflix会員の方は追加料金なしで視聴可能です。ただしNetflixは2024年以降、日本では新規ユーザー向け無料体験を提供していないため、初回登録のみで無料視聴したい場合はU-NEXTかPrime Videoを推奨します。

本作はレンタル課金や追加購入なしに、上記いずれかの登録だけで合法的に最後まで視聴できます。違法アップロード動画や海賊版ストリーミングは画質・音質が著しく劣るうえセキュリティリスクも伴うため、必ず正規の配信サービスをご利用ください。

あらすじ

物語は『指輪物語』の60年前の中つ国を舞台にしています。冒頭、年老いたビルボ・バギンズ(イアン・ホルム=『指輪物語』と同じキャスト)が、フロドのために『私のかつての冒険の物語』を書き始めるシーンから始まります。彼の物語は、青年時代の彼が経験した『思いがけない冒険』の真実です。

青年ビルボ(マーティン・フリーマン)はホビット庄(シャイア)の小さな丸い扉のあるホビット穴で、平和に暮らしている50歳のホビット族の青年。冒険心は皆無で、毎朝のお茶とパイプ煙草を楽しむ穏やかな日常を愛している彼の家に、ある朝突如として灰色のガンダルフが現れ、『君を冒険に誘う』と告げます。ビルボは即座に断りますが、その夜、思いがけずに13人のドワーフ達がビルボの家に集結する驚愕の事態が発生します。

13人のドワーフ達のリーダーは、トーリン・オーケンシールド——『樫の盾』を持つ者。彼はかつてのドワーフ王国エレボール(はなれ山)の王の継承者で、邪悪な竜スマウグに王国を奪われ、流浪のドワーフ族として旅を続けていました。今、彼の元に集まった13人のドワーフ達は、エレボールを取り戻すための歴史的な遠征を計画しているのです。ガンダルフは彼らに『熟練の盗賊が必要だ』と告げ、ビルボを推薦します。

ビルボはホビット族の伝統である『臆病さ』を捨てて冒険に参加することを決意。13人のドワーフとガンダルフの計15人での旅が始まります。途中、彼らは岩のトロル3体に襲われますが、ガンダルフの機転で全員を救出。続いて『ラスト・ホームリー・ハウス(リヴェンデル)』のエルフの里に到着し、エルロンドや白の評議会(ガラドリエル、サルマン、エルロンド、ガンダルフ)から重要な情報を受け取ります。サルマンは『竜の遠征』を反対し、ガラドリエルだけがガンダルフの勘を信じる立場で、シリーズ全体の伏線である『闇の力(ネクロマンサー=後のサウロン)の復活』が初めて示唆されます。

霧降山脈を越えるシーンでは、ストーン・ジャイアント(石の巨人)同士の戦闘の真っ只中に巻き込まれる衝撃の場面が展開。続いてゴブリンの王国に拐われた一行は、グレート・ゴブリン(ゴブリン王)との戦いに巻き込まれます。

そしてシリーズの真の核心——ビルボがゴブリンの坑道で道に迷い、地下の暗い湖でゴラム(アンディ・サーキス)と運命的な再会を果たす場面です。ゴラムとの『なぞなぞ勝負』、そして地面に落ちていた『一つの指輪』の発見、ビルボがそれを手に入れて見えなくなる瞬間——これは『指輪物語』へと続く運命の出会いの始まりなのです。

登場人物

本作で初登場・本格登場する重要キャラクターは、シリーズ全体の歴史を彩る面々です。

■ ビルボ・バギンズ(青年): 主人公の50歳のホビット族青年。臆病で冒険心ゼロの平和な性格でしたが、ガンダルフとドワーフ達との出会いを通じて、彼の中に眠っていた『冒険心と英雄の素質』が目覚めていきます。マーティン・フリーマンが演じる『普通の人間が突如として英雄になっていく姿』は、シリーズで最も愛される主人公像です。

■ トーリン・オーケンシールド(樫の盾): 13人のドワーフ達のリーダー。失われたドワーフ王国エレボールの王位継承者で、邪悪な竜スマウグへの復讐と王国奪還を悲願としています。リチャード・アーミティッジが演じる『誇り高く、しかし傷つきやすい王の姿』は、シリーズ屈指の俳優賞級の演技として高く評価されました。

■ ガンダルフ(灰色): 五人の魔法使いの一人。本作では『指輪物語』より60年前の彼で、まだ『白のガンダルフ』へと変貌していない時期。イアン・マッケランが20年前と全く同じ姿で再演する映画的奇跡の場面が見られます。

■ ゴラム(スメアゴル): シリーズで最も重要なキャラクターの一人。本作はゴラムが指輪を失い、ビルボがそれを拾う運命の瞬間を描く重要な作品。アンディ・サーキスが前作までに確立したモーションキャプチャ演技を本作でさらに深化させました。

■ ガラドリエル: ロスローリエンの女王。前作『指輪物語』に続いて続投で、本作では『白の評議会(中つ国の最高指導者会議)』のメンバーとして登場し、ビルボとガンダルフの遠征を支持する立場を取ります。

■ エルロンド: リヴェンデルの領主。前作に続いて続投で、本作ではドワーフ達の遠征を支持しないものの、彼らに月光文字の地図を読み解いてもらう協力を惜しみません。

■ サルマン(白): 五人の魔法使いの長。本作では『闇の力(ネクロマンサー)の復活』への警戒を最初は否定し、ガンダルフの遠征を冷ややかに見ています。彼が後に闇に堕ちる伏線が始まる重要な場面です。

■ ラダガスト(茶色): 五人の魔法使いの一人で、自然と動物を愛する変わり者。本作で初登場し、闇の力の復活を最初に察知する人物。コミカルでありながら、シリーズの伏線に重要な役割を担います。

■ アゾグ(冒涜者): 映画オリジナルキャラクターの白いオーク族の首領。トーリンの祖父をかつて殺害し、トーリンに左手を奪われた宿敵。本作の主要なヴィランとして、続編まで一貫した敵対関係を演じます。

■ 13人のドワーフ達: トーリンを含めた遠征の仲間達。バリン(白髪の重鎮)、ドワリン(刺青のあるドワーフ)、フィリ(トーリンの甥・若いドワーフ)、キーリ(若いハンサムなドワーフ)、グロイン(ギムリの父)、オイン(医療担当)、ノリ(おさげ髪)、ドリ(姉妹のような優しさ)、オリ(若手の文書記録係)、ボフール(陽気)、ボンブール(肥満)、ビフール(怒りやすい)。それぞれ個性的なキャラクター造形がされた愛されるドワーフ達です。

スタッフ・キャスト陣

本作のキャストは『ロード・オブ・ザ・リング』3部作のレギュラー陣に加え、新たに英国を代表する若手・中堅俳優が多数加わった豪華布陣です。

ビルボ・バギンズ役のマーティン・フリーマンは英国のテレビドラマ・映画俳優。BBCのテレビドラマ『シャーロック』(2010-)のジョン・ワトソン役で世界的に有名な人物。彼の『普通の人間としての困惑と勇気』を演じる才能は、ビルボ役にぴったりはまり、シリーズ屈指の主人公像を生み出しました。本作以降『シャーロック』との掛け持ち、『ファーゴ』(2014)などで国際的活躍を続けます。

トーリン・オーケンシールド役のリチャード・アーミティッジは英国のシェイクスピア俳優出身。BBC『北と南』(2004)やテレビドラマ『MI-5/英国機密諜報部』(2008-2010)で英国国内では既に有名でしたが、本作で世界的スターとなりました。彼の演じる『誇り高きドワーフ王』は、シリーズで最も注目されるキャラクター像となり、後の彼自身の俳優キャリアを完全に変えました。

年老いたビルボ役のイアン・ホルムは『ロード・オブ・ザ・リング/旅の仲間』に続いて続投。彼自身が80歳近くで本作に出演し、シリーズの世代を超えた繋がりを象徴する重要な存在となりました。彼は2020年6月に88歳で逝去しています。

ガンダルフ役のイアン・マッケランは前3部作に続いて続投。本作出演時73歳で、20年前の若々しい灰色のガンダルフを再現する『映画的奇跡』を成し遂げました。彼自身もシリーズの精神的支柱として、若手俳優陣のメンターのような役割を果たしました。

ゴラム役のアンディ・サーキスは前3部作に続いて続投。本作のゴラムシーンでは『なぞなぞ勝負』というシリーズで最も繊細な感情演技が要求される長尺シーンに挑み、彼の俳優としての到達点をさらに更新しました。

ガラドリエル役のケイト・ブランシェット、エルロンド役のヒューゴ・ウィービング、サルマン役のクリストファー・リー、フロド役のイライジャ・ウッドも前3部作から続投。シリーズの連続性を保つ意味で重要なキャスティングでした。クリストファー・リーは本作出演時90歳という高齢で、彼自身がトールキン本人と直接会った数少ない俳優として、シリーズへの最後の貢献となりました(2015年6月に93歳で逝去)。

ラダガスト役のシルヴェスター・マッコイは英国の演技派俳優。BBCのテレビドラマ『ドクター・フー』(1987-1989)の第7代ドクター役で英国国内では国民的な俳優でした。本作の自然と動物を愛する変人魔法使い役は、彼のコメディ的な才能を最大限に発揮した愛される役柄となりました。

アゾグ役のマヌ・ベネットはニュージーランド出身の俳優。テレビドラマ『スパルタカス』(2010-2013)のクリクサス役で世界的に有名で、本作の白いオーク役は完全にCGで描かれていますが、彼の身体的な動きとパフォーマンスがCGの基礎となりました。

13人のドワーフ達を演じる俳優陣は、世界中の演技派俳優を集結させた『シリーズ史上最大のキャスティング』でした。バリン役のケン・ストット(英国の名優)、ドワリン役のグレアム・マクタヴィッシュ、フィリ役のディーン・オゴーマン、キーリ役のエイダン・ターナーなど、それぞれが個性的な俳優陣で、シリーズで最も愛されるドワーフ・キャラクターを生み出しました。

監督・脚本ピーター・ジャクソンは前3部作に続いて続投。共同脚本に妻フラン・ウォルシュ、フィリッパ・ボウエンに加え、新たにギレルモ・デル・トロ(『パンズ・ラビリンス』『シェイプ・オブ・ウォーター』)が脚本に参加。デル・トロは当初、本作の監督として2008年から2010年まで作業をしていましたが、最終的にスケジュール調整の都合で監督業から離れ、ピーター・ジャクソンが指揮を取り戻すという有名な経緯があります。

音楽はハワード・ショアが続投。本作のために『Misty Mountains Cold(霧降山脈の冷たさ)』(13人のドワーフ達が暖炉の前で歌うシリーズ屈指の名曲)、『Far Over the Misty Mountains Cold』『The Adventure Begins』など多数の新主題を作曲し、『指輪物語』の音楽世界をシームレスに本作と接続させました。

興行収入・話題

2012年12月14日に世界同時公開された『ホビット 思いがけない冒険』は、最終的な世界興行収入10億1495万9970ドルを記録。当時史上15作目の10億ドル超え達成という映画史的偉業で、2012年公開作品の世界興行ランキングで第3位(『アベンジャーズ』『007 スカイフォール』に次ぐ)を獲得しました。

北米では公開初日深夜に1300万ドル、初日全体で3750万ドルを売り上げ、『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』の3450万ドルという12月の初日興行収入記録を塗り替えました。北米最終興行収入は3億330万ドル、北米外で7億1166万ドルという内訳で、シリーズの世界的人気を改めて証明する結果となりました。

日本では2012年12月14日に同時公開され、年間興行収入75.6億円を記録。前作『指輪物語』3部作の興行と比較するとやや控えめですが、9年ぶりの中つ国シリーズ復活への期待値は確実に観客動員に反映されました。

批評家からの評価は『指輪物語』3部作と比較するとやや厳しく、Rotten Tomatoesの批評家スコアは65%、Metacriticは58点でした。批評家は『3部作にする必要があったか』『児童文学を3作に拡張するのは過剰』『パイプ煙草の場面が長すぎる』などの指摘をしましたが、観客スコアはRotten Tomatoesで79%とまずまずの評価で、シリーズの中核ファン層からは『9年ぶりの中つ国の復活が嬉しい』と熱烈に支持されました。

第85回アカデミー賞では美術賞・視覚効果賞・メイクアップ賞の3部門にノミネート。受賞には至りませんでしたが、本作の技術的革新は業界から高く評価されました。第66回英国アカデミー賞(BAFTA)では特殊効果賞ノミネートを獲得しています。

本作の最大の技術的偉業は『史上初のHFR(ハイフレームレート)3D 48fps上映』を実現したことです。従来の映画は24fpsで撮影・上映されてきましたが、ピーター・ジャクソン監督は『観客により滑らかでリアルな映像体験を届けたい』との理由で、本作のために48fpsの撮影機材『RED EPIC』48台を独自開発・運用。世界60以上の劇場でHFR上映が実現しました。この技術は後のジェームズ・キャメロン監督『アバター: ウェイ・オブ・ウォーター』(2022)などにも影響を与え、映画業界の高フレームレート化への道を開く歴史的な仕事となりました。

本作の成功により続編『竜に奪われた王国』(2013)、最終作『決戦のゆくえ』(2014)も大ヒットを記録し、ホビット3部作合計で29億ドル超の世界興行収入を達成。中つ国シリーズ全6作合計では世界興行収入59億ドル超という、現代映画フランチャイズ史上屈指の規模を確立しました。

ネタバレ

【以下、結末まで含むネタバレを多数含みます】

本作のクライマックスは霧降山脈での連続したアクション・シーンです。

【ストーン・ジャイアントの戦い】霧降山脈を登るビルボとドワーフ達は、突如として『ストーン・ジャイアント(石の巨人)』2体が拳を振り上げて戦うという衝撃の場面に巻き込まれます。彼らは岩の壁にしがみつきながら、数百メートル下に落ちる恐怖と戦います。

【ゴブリンの王国とビルボとゴラムの再会】霧降山脈の洞窟に避難した一行は、グレート・ゴブリン(ゴブリン王)率いるゴブリン族に拐われてしまいます。ゴブリン王の歌う気持ち悪い『ゴブリン・ソング』の場面はシリーズで最もホラー的なシーンの一つ。ガンダルフが現れて一行を救出する激しい戦闘シーンが展開しますが、混乱の最中、ビルボはゴブリンの坑道で道に迷い、地下深くへと滑り落ちてしまいます。

ビルボが目を覚ますと、地下の暗い湖の岸辺。そこでシリーズで最も重要な場面の一つが始まります——彼の前に現れたのは、痩せこけて目の大きな哀れな生物ゴラムでした。ゴラムはビルボに『なぞなぞ勝負』を提案します。『勝てば道を教える、負ければ食ってやる』という命がけの勝負でした。

二人は5つのなぞなぞを交わします。風、太陽、闇、時間、卵——ビルボはどれもギリギリで答え、最後に苦し紛れに『私のポケットに何が入っている?』とゴラムに問いかけます。これはなぞなぞではなく単なる質問でしたが、ゴラムは考えあぐねていました。実はビルボのポケットには、彼が地下道で偶然拾った金色の指輪——ゴラムの『私の宝物』だったのです!

ゴラムは指輪が無くなっていることに気づき、激怒。『盗賊だ!盗賊バギンズだ!永遠に憎んでやる!』とビルボを追いかけます。ビルボは咄嗟に指輪をはめて姿を消し、ゴラムの追跡をかわします。逃げる途中、ビルボはゴラムを刺し殺すこともできましたが、ゴラムの哀れな姿に同情して殺すことを思いとどまる重要な選択をします——これがシリーズ全体のテーマである『慈悲の意味』を象徴する瞬間で、後の『指輪物語』のラストでフロドの命を救う伏線となります。

ビルボはゴラムから逃れて地上へ戻り、ガンダルフ達と再会。彼が指輪を持っていることはガンダルフにのみ告げ、ドワーフ達には秘密にします。

【ワーグの追跡とアゾグ】地上に出た一行は、白いオーク族の首領アゾグ率いる追手の集団に襲われます。アゾグはトーリンの祖父スロールをかつて殺害し、トーリンに片腕を奪われた宿敵で、長年の復讐の機会を狙っていました。アゾグの軍団に追い詰められた一行は崖の上の枯れ木に登り、矢の代わりに松ぼっくりに火をつけて投げる絶望的な抵抗を試みます。トーリンは絶望の中で立ち上がり、剣を抜いてアゾグに向かって突進しますが、アゾグの巨大な狼ワーグに踏みつぶされて瀕死状態に。

そこに突然、ビルボが介入します。彼は剣『つらぬき丸(スティング)』を握ってアゾグの部下を倒し、トーリンを必死で守ります——シリーズで最も重要な転換点で、臆病だったビルボが『真の英雄』に成長した瞬間です。続いて巨大な鷲(イーグル)達が空から襲来し、一行をアゾグの軍団から救い出して空高く運びます。

【絆の確立】鷲に運ばれて到着した山頂で、ガンダルフは『鷲の魔法』でトーリンを蘇生させます。意識を取り戻したトーリンは、最初『なぜビルボがいる、彼は私たちを置いて家に帰るべきだ』と冷たく告げますが、続いて『私はあなたを過小評価していた、許してくれ』とビルボに告げて抱擁します。トーリンの『誇り』が一旦崩されてビルボへの友情を認める場面は、シリーズ屈指の感動的な瞬間です。

本作のラスト、彼方の地平線に巨大なドラゴン・スマウグが棲むはなれ山が見えます。トーリンは『これでようやく我らの王国を取り戻す道が始まる』と告げ、続編『竜に奪われた王国』への期待を最大限に高めて本作は幕を閉じます。

トリビア

■ ギレルモ・デル・トロの監督業からの離脱: 本作は当初、ギレルモ・デル・トロ監督が指揮することになっていました。彼は2008年から2010年までニュージーランドに住み込みで脚本作業に参加していましたが、本作の制作開始がワーナー・ブラザースの財政問題で何度も延期され、最終的に彼自身のスケジュールが合わなくなって監督業から離脱。ピーター・ジャクソン監督が指揮を引き取って本作を完成させました。デル・トロは脚本クレジットを残し、彼の影響は本作の『闇の力の復活』(後のサウロン)の伏線などに見られます。

■ HFR 3D 48fps上映の歴史的意義: 本作は史上初の『HFR(ハイフレームレート)3D 48fps』フォーマットで上映された映画として、映画史に残る技術的偉業です。ピーター・ジャクソン監督は撮影機材『RED EPIC』48台を独自に運用し、48fpsで撮影・上映するシステムを構築。世界60以上の劇場で48fps上映が実現しました。観客の中には『動きが速すぎて目が疲れる』『リアル過ぎてセットに見える』などの否定的反応もありましたが、後のジェームズ・キャメロン監督『アバター: ウェイ・オブ・ウォーター』(2022)などに影響を与えた画期的な技術となりました。

■ 13人のドワーフのキャラクター・デザイン: 13人のドワーフは原作小説では性格があまり区別されておらず、映画化に際しては脚本チームが『13人それぞれに完全に異なる性格と外見』を与える挑戦をしました。バリン(白髪の重鎮)、ドワリン(刺青のあるドワーフ)、フィリ(トーリンの甥・若いドワーフ)、キーリ(若いハンサムなドワーフ)、ボフール(陽気なドワーフ)、ボンブール(肥満)、ビフール(怒りやすい)など、各キャラクターには3〜4時間かかる特殊メイクと衣装デザインが施されました。

■ ホビトンのセット保存: ホビット庄(シャイア)のセット『ホビトン』は、ニュージーランド北島マタマタ郊外の牧場に再建されました。前作『ロード・オブ・ザ・リング』の撮影後に取り壊されていたセットを完全に再現し、本作の撮影後はそのまま保存されて観光地『ホビトン映画セットツアー』として一般公開されました。現在も年間数十万人のファンが訪れる聖地となっています。

■ ゴラム vs ビルボのなぞなぞ勝負: 本作のクライマックスである『ゴラムとビルボのなぞなぞ勝負』のシーンは、2人の俳優(マーティン・フリーマンとアンディ・サーキス)が対面で何時間ものリハーサルを重ねて完成させました。サーキスがゴラムを生身で演じ、フリーマンと対話しながら撮影することで、シリーズで最も繊細な感情演技を実現しました。

■ クリストファー・リーの90歳での出演: サルマン役のクリストファー・リーは本作出演時90歳という高齢で、彼自身がトールキン本人と直接会った数少ない俳優として、シリーズへの最後の貢献となりました。彼はリヴェンデルの白の評議会のシーンのみに登場し、撮影は健康上の理由で英国のスタジオで行われ、ニュージーランドの本撮影とは別撮りで合成されました。

■ 『Misty Mountains Cold』の歌: 13人のドワーフ達がビルボの家で暖炉の前で歌う『Misty Mountains Cold(霧降山脈の冷たさ)』の歌は、原作小説のオリジナルの詩を音楽家ハワード・ショアがメロディに乗せた作品。リチャード・アーミティッジが歌う深いバスの主旋律は、シリーズで最も愛される音楽となり、YouTubeで数千万再生を記録するほどの世界的人気曲となりました。

■ アゾグの完全CG化: 当初の脚本ではアゾグは特殊メイクの俳優演技として撮影されていましたが、ピーター・ジャクソン監督が『より恐ろしいヴィランにするためにCG化したい』と判断し、撮影後にすべて完全CGで作り直されました。マヌ・ベネットの身体的な動きと演技を保ったまま、白い肌、左手の代わりの鋭い金属の鉤爪、巨大な体つきがCGで強調されました。

■ 上映時間と完全版: 劇場公開版は2時間49分でしたが、後発のDVDで公開された『エクステンデッド・エディション』(完全版)は3時間2分の13分追加映像入り。エルロンドのリヴェンデルでの会話、ホビット庄での詳細場面、トーリンの過去のフラッシュバックなどが追加されています。

■ ピーター・ジャクソン監督のカメオ出演: ピーター・ジャクソン監督は本作のオープニングのホビット庄のシーンで、地元のホビット族の役で映ります。彼の妻フラン・ウォルシュ、子供たちもホビット役として出演しており、家族総出のカメオ出演はシリーズの伝統となっています。

撮影裏話

ピーター・ジャクソン監督が本作で取り組んだ最大の挑戦は、児童文学『ホビットの冒険』(1937年発刊・原作350ページ程度)を3部作の超大作として再構築することでした。前作『指輪物語』3部作が原作1300ページを3作にまとめたのに対し、本作は『短い児童文学を3作に拡張する』という逆向きの仕事だったのです。脚本チーム(フラン・ウォルシュ、フィリッパ・ボウエン、ピーター・ジャクソン、ギレルモ・デル・トロ)はトールキンの『指輪物語付録』『未完の物語』『中つ国の歴史』など多数の補足資料を参照し、原作にない『闇の力の復活』『白の評議会』『アゾグの宿敵関係』などのストーリーラインを追加しました。

プロダクション・デザインのダン・ヘナは前作までのスチュアート・クレイグ(ホビトン、リヴェンデルなど)を引き継ぎ、本作のために『エレボール(はなれ山のドワーフ王国)』『ゴブリン・タウン(ゴブリンの地下王国)』『ラダガストの森の小屋』など新たな世界観を構築しました。エレボールの黄金のドワーフ建築は、現実の北欧バイキング文化と古代エジプトの建築様式を融合した独特なデザインで、シリーズで最も豪華絢爛なセットの一つとなりました。

衣装担当のアン・マスキは、本作のために13人のドワーフ達それぞれに完全に異なる衣装を制作。ドワーフの厚い革鎧、刺繍された羊毛のフード、貴金属の鎖、編み込まれた髭の装飾——すべてが手作業で完成された傑作で、シリーズの衣装的到達点として高く評価されました。本作の仕事は第85回アカデミー賞メイクアップ賞ノミネートを獲得しています。

VFX総指揮はWeta Digitalのジョーリー・レテリエ。本作で彼が直面した最大の挑戦は『48fps高フレームレート撮影への対応』でした。従来の24fps映画では『動きが粗く感じる』場面でも目立たなかったCGの粗が、48fps撮影では明確に見えるため、Weta Digitalチームは何百人もの追加スタッフを投入してアゾグ、ゴブリン王、ストーン・ジャイアント、ゴラムなどの主要CGキャラクターのアニメーションを倍以上の精細さで作り直す必要がありました。

48fps撮影自体も技術的革命でした。ピーター・ジャクソン監督は『アバター』のジェームズ・キャメロン監督と協力して、48fpsで撮影・上映できる新しい撮影機材『RED EPIC』48台を独自開発・運用しました。これは映画業界に対する大きな挑戦で、撮影費は通常の映画の2倍以上、上映劇場の改造費も劇場側に大きな負担を強いる仕事でした。最終的に世界60以上の劇場で48fps上映が実現しましたが、観客の反応は賛否両論——『より滑らかでリアル』という肯定派と、『リアル過ぎて映画感がない』『目が疲れる』という否定派に分かれました。

しかし長期的に見れば、本作の48fps技術はジェームズ・キャメロン監督『アバター: ウェイ・オブ・ウォーター』(2022)『アバター: 火と水の道』(2025)などに影響を与え、ハリウッドの大作映画における高フレームレート技術の標準化への道を開く歴史的な仕事となりました。

音楽はハワード・ショアが続投。本作のために『Misty Mountains Cold』(13人のドワーフ達が暖炉の前で歌う愛される歌)、『Far Over the Misty Mountains Cold』『The Adventure Begins』『The Goblins of the Misty Mountains』『Riddles in the Dark(なぞなぞ勝負)』など多数の新しい主題を作曲。ジョン・ウィリアムズ風のシリーズの音楽世界をシームレスに本作に接続させる仕事は、シリーズの音楽的到達点として高く評価されました。

本作のキャストワークも、シリーズの中核観客層には大きな魅力でした。マーティン・フリーマンの『普通の人間としての困惑と勇気』、リチャード・アーミティッジの『誇り高きドワーフ王』、イアン・マッケランの『20年前と全く同じ姿の灰色のガンダルフ』、アンディ・サーキスの『シリーズで最も繊細な感情演技を見せるゴラム』——シリーズの過去と未来をシームレスに繋ぐキャスティングが、本作の最大の魅力でした。

本作はホビット3部作の出発点として、続編『竜に奪われた王国』(2013)、最終作『決戦のゆくえ』(2014)へと続く壮大な物語の幕開けを完璧に果たしました。批評家からはやや厳しい評価を受けたものの、シリーズの中核ファン層からは熱烈に支持され、世界興行収入10億ドル超えという興行的成功で続編の制作が確実になりました。9年ぶりの中つ国シリーズの復活は、ハリウッドのファンタジー映画ファンにとって2012年最大の映画的事件として記憶されています。